「あなたは知性はあるけど教養がない」
労働者階級の船乗りマーティンと上流階級の娘エレナ。彼女への恋心から自身の生まれと育ちの差を埋めるべく、マーティンは独学で作家を目指します。
これが原作者ジャック・ロンドンの自伝的な物語だというから、本人も苦労したのでしょう。
で、ロンドンは40歳で亡くなっている。なぜ?
本作を観ると納得です。
そのマーティン、富と名声を得た時には...。
幸せとは、成功とは、なんでしょうね。
マーティンの成功前と成功後、果たしてどちらが幸せなのか。考えさせられました。
エレナを演じたジェシカ・クレッシー。
なんというか、フェルメールの絵画のような柔らかさと可憐さが素晴らしかったです。
主役のマーティンはルカ・マリネッリ。
本作でヴェネツィア国際映画祭男優賞受賞。
あの『ジョーカー』のホアキン・フェニックスを抑えての受賞だったそうです。フェニックス同様にマリネッリも発するエネルギーが凄まじかった。2作品を観て二人を比べてみるのもいいかもしれません。