アメリカ人作家ジャック・ロンドンの自伝的小説を舞台をイタリア、ナポリに移して映画化。
身分違いの恋に落ち、知性と教養への憧れから文学にのめり込んでいく彼を駆りたてたのは、愛か、それとも越えることのできない階級差への怒りだったか。
作家として成功したはずがその先にあった絶望。自身のアイデンティティまで失うことになるとは。
マーティンを演じるルカ・マリネッリの抑制された演技の奥に静かに滾る熱に息をのむ。
なぜ舞台がイタリア ナポリなんだろう、と思ったけど、そうすることで貧富の差、階級差をより際立出ることができた、とは監督のアフタートークから。
逆にわたしはアメリカンドリームと憧れられる国でも、やはり貧困層からの成功は難しいし、生まれながらの階級差があるんだと再認識した。
ヴェネチア映画祭であの『ジョーカー』のホアキン・フェニックスをおさえて男優賞に輝いたルカ・マリネッリがねー、
もうその身体つきだけで見事に貧困層の男だっていうのを体現してるのよね。
母国語なら、だんだんと彼の話し方や言葉遣いが洗練されていくのもわかったんだろうな、そこは悔しいところ。