しちれゆ

おもかげのしちれゆのレビュー・感想・評価

おもかげ(2019年製作の映画)
3.7
10年前忽然と姿を消した6歳の息子イバン、一緒にいた筈の父親ラモンがその時何処で何をしていたかは明かされない。ただイバンが最後の電話で「男の人が来る。おしっこしてる。」というところから性犯罪を匂わせてはいる。

息子がいなくなった海辺に移り住みカフェで働きながら生きる母エレナ。
パリから来た少年ジャンはエレナが自分に息子の面影を見ていると知りながら20歳以上年の離れたエレナに思いを寄せる。
エレナの恋人ヨセバはそんな2人を複雑な気持ちで見つめる。「まさかあんな子どもと」と思いながらも疑いは深まっていく。
一方ジャンは「彼氏はオジサンだから僕を嫌ってる」
「向こうは君のこと大好きだ」
となかなか鋭い。
ジャンの母親はエレナと自分の息子の仲を心配する。10代の息子が40近い″イカれたスペイン女″と何やらおかしなことになっていたら許せないのは当然でしょう。
出てくる人みんな各々の立場に基づいて真っ当なのだ。エレナは若干やりすぎはしたけれど。
エレナはジャンに救われた。失ってしまったかつて手中にあった小さな命を取り戻して、新しく生き直す力を得た。
冷たい夜の海に飛び込む若さを、美しい巻き毛を、またたく間に水をはじくみずみずしい肌を、今は必要としていた。いつかジャンが新しい愛を見つけた時、エレナは惜しみなく彼を送り出すに違いない。そうしてエレナは再び″Madre″となるだろう。
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