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おもかげのペコのレビュー・感想・評価

おもかげ(2019年製作の映画)
3.2
冒頭15分のワンカット映像が第91回アカデミー賞短編実写映画賞にノミネートされた『Madre』のその後を描いた長編作品。元夫と旅行中の息子が忽然と消えてから10年後。息子が失踪した海辺で主人公のエレナは息子に似た少年を見つけたことから、物語は始まります。少年ジャンは息子ではないと分かっていても、彼の存在が気になってしょうがないエレナ。それは周囲の人間を混乱させていくのです。エレナの気持ちは確かにわかる。愛する我が子と似た子供を見つけたら…傍にいたいと思う気持ちは確かに分かる。立ち直るまでには時間がかかる。“大丈夫”な人間なんて一人もいないのだ。母親としての愛なのか、恋人としての愛なのか、絶妙な関係性が何とも言えない雰囲気で上手く描かれていて切なかったが、エレナの行動によってジャンの家族は迷惑に思うだろうし、エレナの恋人だって困惑するのは当たり前。エレナの言動に共感できなかったのが本音。もう少し90分くらいにまとめられたと思うし、サスペンス要素も欲しいところ。それでもエレナとジャンが互いに惹かれ合って、過去の自分と決別できたのは良かったと思います。元夫が何故に息子の傍にいなかったのが気になるし、失踪した息子はどこに行ってしまったのだろう…謎だ。
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