チェン

異端の鳥のチェンのネタバレレビュー・内容・結末

異端の鳥(2019年製作の映画)
3.8

このレビューはネタバレを含みます

少年がその身を置く状況によって分かれている全9編によって構成されている。

「死」が火によって象徴されていて、第1編では犬と老婆及び家、第2編では村人。火と少年の距離がそのまま死と少年のそれに反映されていて、第3編では臨死状態にあった少年のすぐそこまで火が迫ることになる。最後の方では戦争で焼かれる村を遠くから眺めていて、死が遠ざかっていることを表してた(のかな?)

第2編ではカラス、第3編では鳩、第4編でカナリアが登場する。ここで解放された羽を白く塗られたカナリアがすぐに群れで追われて死ぬシーンが出てくる。そしてその直後にカナリアを売っていた男性と体を売っていたその妻(?)が村人に襲われ死に至り、その2人及びどこに行っても冷遇され続ける少年そのものが"異端の鳥"であることが示される。邦題"The Painted Bird"をこのように訳したのも粋だね。

かなり辛い身の上なんだけど、これでもこの少年はかなり幸運というのが皮肉。そしてその変遷の中で身につけた凶暴性を時折見せてヒヤッとする。


ラスト、第9編で実の父親に再会することになる。ここで名前を覚えてるか聞かれて、これまでの生い立ちから激昂し質問には答えず出て行く。しかし、そのあと家に帰るバスの道中で眠っている父親の腕に数字が彫られているのを見つけ自分と同じ境遇を辿っていたことを知り、曇ったガラスに自分の名前を書くことで心を開き始める。

その後、白い鳥が1羽で自由に飛び回ってるシーンで"異端の鳥"が自由に生きられることを示し幕を閉じる。


開始20秒からしんどくて後3時間ずっと重たい映画だった。白黒映画だけど去年の映画なのね。そして会話も圧倒的に少ない。その雰囲気も相まってひたすらに重苦しい。

後で色んな考察とか見る。
チェン

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