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異端の鳥のharukaのレビュー・感想・評価

異端の鳥(2019年製作の映画)
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戦争の空気によって人が狂うのか、そうは思えなかった。延々と見せられた人間の悪意や狂気は、全てが時代のせいだとは言えない気がする。理不尽な世界で際立つ少年の優しさに、胸が苦しくなったのも束の間、どこかでこの不条理への復讐を期待している自分がいた。3時間弱あるけれど、彼自身と、観ている人の感情をここまで変化させるには、必要な時間だったと思う。
言葉の喪失は、目の前の出来事を心に留められないということ。台詞の極端な少なさによって、人間らしさを排除して描いているのが悲しいけどすごい。正直なところ「僕は、生きて、家に帰る」という風には全くもって見えなかった。最初から少年は、どこにもいないみたいだった。
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