浮浪者

異端の鳥の浮浪者のレビュー・感想・評価

異端の鳥(2019年製作の映画)
3.8
残酷さの極地から湧きあがる神聖さにやすやすと眼を開かされてはいけない。

善悪・美醜・真偽。

生活に染み渡りすぎた価値判断を驚くほどに保留してくれる。

判断はどちらかである、という余白のない絶対的な区分を提示するわけでもなく。

判断はどちらでもありえる、という曖昧模糊とした連続性を築くわけでもない。

むしろ、どちらでもない、という判断以前の気配をただただ炙り出すだけだから凄まじかったな。

作り手の主観性はおろか、見るものの主観性すら封印してしまうような、全きまでの客観映画に恐れ入りました。
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