浮浪者さんの映画レビュー・感想・評価

浮浪者

浮浪者

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高校(1968年製作の映画)

3.5

支配と被支配の規則が全面化したゴミクズを平然と食らいつくし、そのゴミクズの残滓によって我々もまた延命されているのだと言わんばかりに。

チチカット・フォーリーズ(1967年製作の映画)

3.8

あまりにもデモーニッシュな作品。ホモ・サケルとしか言いようがない状況を否定的媒介にし、人間をモノとして平均化し、善悪・正邪・清濁併せ呑む。

ふと五木寛之のエピソードを思い出す。

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平壌で終
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憐れみの3章(2024年製作の映画)

3.3

一章を引き延ばして一時間弱で終わっていれば…としか思えないほどの続章の冗長さ。

異常さの百科事典をつくる行為ほど愚かしさはない。正常と異常の裂目にして発生、そしてその反転の縮小モデルを創り上げる才能
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捕えられた伍長 4Kレストア(1962年製作の映画)

3.5

爆撃の最中。逃亡よりもブランデーを選択する、いや、選択肢ではなく、酒と心中しきっている老獪さには、誰も訓育されない。

コルドリエ博士の遺言 4K レストア(1959年製作の映画)

3.4

オパール、カウリスマキに出てくる悪漢そのもの。チャップリンも成し得なかった、道化の極致。

二つの季節しかない村(2023年製作の映画)

3.3

自己への配慮が利己へと暗転し、社会変革の連帯が愚者の舞踏へと進展する。世界は私を内包しないし、私もまた世界を外延しない。並列する必要もない異種格闘技。

"では、人間とはいったい何という怪物だろう。何
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石がある(2022年製作の映画)

3.4

存在の大いなる連鎖。

"生きようとねがいながら、外側の運命のために押しつぶされるあわれな人間たち。思考が逃亡を欲する。思考はみずからを傷つける不幸を眺めることを欲しない。"シモーヌ・ヴェイユ「工場日
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ピアニストを待ちながら(2022年製作の映画)

3.5

村上春樹よりも宮台真司を感じてしまう。待つと待たないの両価性からの逃走として、待ちながら、という状態記述。

閉じ込められているのでもなく、閉じこもっているのでもなくという、現実性の問題。

排中律を
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グレース(2023年製作の映画)

3.4

コーカサスを彷徨する豹柄の幽霊。

「一夜のお楽しみ」を呆気なく葬り去るための犠牲的経験ともみれるが、骨灰を海へ撒くための儀礼的経験だったともいえる。

SUPER HAPPY FOREVER(2024年製作の映画)

3.5

伊東へ行くならハトヤ♪の作詞が野坂昭如であることを知る。

西湖畔(せいこはん)に生きる(2023年製作の映画)

3.2

貫ききれなかったギャスパー・ノエ成分が私を戸惑わせる。山水画に墨はいるが毒はいらない。俗世が毒なのだから。

Cloud クラウド(2024年製作の映画)

3.3

黒沢雲:因果も縁起もなく奇天烈な豪雨(事象)を撒き散らす。

ソウルの春(2023年製作の映画)

3.4

世界一無能な上官は誰だ選手権。事前予想と事後決裁で廻っていく権力空間。

きみの色(2024年製作の映画)

2.5

作家の意図をこえて、造形された生き物たちが動き出すことは全くなく。色にも音にも見放されたクレイが元気印の予定調和で飼い慣らされていく。

リリー・マルレーン 4K デジタルリマスター版(1980年製作の映画)

3.5

ナチとユダという対極を拵えれば、その間に存在するものたちは超然的に処理されていく。

極にのみ理性と倫理が費やされ、際と狭間の物事などはケチなものとして一括化される。

その一括性のさなかで失われてい
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自由の暴力 デジタルリマスター版(1974年製作の映画)

3.5

便所により事がはじまり、便所のように死に絶える。金により糞を忘れたものに向けたバラの花束。

宝島(2018年製作の映画)

3.4

慣れ親しんだ大地を未開の荒野へと変換する小さき者たちの技芸に酔いしれる。

Chime(2024年製作の映画)

3.5

時間が継起的に過ぎゆくと思っているものの根源を揺する。断絶でも不連続でもなく、初期微動と余震の間に投げ放たれる。

ルックバック(2024年製作の映画)

3.5

涙腺に向けた媚びへつらいがあけすけなく行われる。その居直り方に感心しながら、その媚びが内破していく瞬間にこそ驚きをもつ。

左手に気をつけろ(2023年製作の映画)

3.2

こども警察を返り討ちにする良識ある大人はいない。

蛇の道(2024年製作の映画)

3.5

猟師の即再起から猟銃にあたらぬ僥倖まで。

花子 4K(2001年製作の映画)

3.5

残飯は存在しない。均衡の破れが淀みの美を潜ませる。

彼奴(きやつ)は顔役だ!(1939年製作の映画)

3.5

手中にあるものの尊さをかなぐり捨てることで得られてしまう風景。得る必要もなかったという後悔を予測しきっても、飛び込む人は、またいる。

死の谷(1949年製作の映画)

3.5

善人なおもて往生を遂ぐ、況んや悪人をや。悪が善へ転じることよりも、善が悪へ転じることのほうが面白いことの根源的不快。