面白いかつまらないか、好きか嫌いかと言われたら、つまらないが好きな作品。
映画としてセンセーショナルなものにしたいという思いが強かったのかな?
レゲトンダンスっていうんですね。そもそもダンスに興味がないので、そこでこの映画の良さの半分以上を感じられなかったけど、パフォーマンスと音楽は今を彩ってるなと思った。
養子であるポロを捨ててしまったダンサーのエマ。後悔から夫ガストンとは険悪。
ポロを取り戻そうとエマは、ある計画を進めていく、というストーリー。
で、このストーリーが良くも悪くも破綻していて。設定は嫌いじゃない。でも、狂気とか不条理とかそういうのとは何か違う。
ポロを引き取った消防士のアニバルと弁護士のラケル夫婦、この2人は完全に被害者なんですよね。いづれもエマというモンスターに誘惑され毒牙にかかったにせよ、そもそもこのストーリー上2人は善の人物。
逆にエマはポロを取り戻したいという思いだけで突っ走り、関係者を蔑ろにし自己満足に浸るだけの悪そのもの。
そんなエマが善と映るわけないじゃん!
つまり、狂気ではなく狂行、蛮行ですね。モラル云々ではなく計画的暴走。だから見てて違和感を感じざるを得ない。
それでもストーリーはよく練られていると思いました。設定そのものはペドロ・アルモドバル監督の「私が、生きる肌」に近いものがあります。とはいっても、トリッキーなだけで、意味を問いかけるようなものは全くないので、同作には到底及びませんけど。
映像は綺麗ですね。ただダンスシーンを含め何かのMVを長々と見てる感じがして。
もっともそのダンスシーンがこの映画の軸なんですけどね(^^;)
そして、火炎噴射のシーン。どうしてもやりたかったんでしょうね(笑)
意図は分かるんだけど、これ、かっこいいじゃん!イカしてるだろ!って。でも決してかっこよくないです(笑)
一番おいしいのは、エマの夫ガストンですね。とにかくクズ人間(笑)
最後までグズグズで中途半端。そしてエマに踊らせ続けられる。それは面白かった。
邦題の「愛の罠」。確かにそうなんだけど、何か官能物っぽくなってない?
だったら、Fire TrapとかWANA!とかにすればいいのに。
..............赤い球=卵子、ダンサー=精子のメタファー。
そのダンスシーンは美しい!