黄金綺羅タイガー

みをつくし料理帖の黄金綺羅タイガーのレビュー・感想・評価

みをつくし料理帖(2020年製作の映画)
2.2
角川春樹監督最後の映画ということで、ある意味ひとつの時代の終わりを物語っているような作品。

終わり方が思い切り尻切れ蜻蛉だったので、これは原作あって、そのなかのエピソードを切り出した映画なんだなと思ったらそのとおりで…
ただ角川映画は角川書店の本を売るための広告だと思えば、すこし原作に興味が出たので角川映画としての本分は果たしているのかもしれない。
しかし原作は大変長い話のようで、印象的なエピソードもたくさんあるらしい。
それを考えると原作の面白さを表すには二時間くらいの映画にすること自体、ハナから無理だったのではないかと思った。
たしかに脚本的には中途半端で一個の作品として評価するにはちょっと苦しいと思うところもあるが、本作を観ているときに大きな破綻があるかといったらそうではないし、むしろ原作を慈しんで丁寧に作ろうという気持ちは随所に溢れた作品だったと感じる。
時代劇をきちんと観せるためにディティールまでこだわりを感じる絵作りには惚れ惚れしたし、役者もまぁ豪華。
ある意味では映画を作るためには、情熱とツテと資本力は大事なのだなというのは勉強になった。

公開時期やらいろいろな事情で興行収入的には惨憺たる結果だったようで、これだけ力を入れて作ったのにこの結果というのは勿体ない気がする。