しょたーん

一人っ子の国のしょたーんのレビュー・感想・評価

一人っ子の国(2019年製作の映画)
4.5
一人っ子政策の元で生まれた女性が、関係者にインタビューをしていくドキュメンタリー映画。2015年に政策は撤回され、今は2人っ子をプロパガンダする政府。経験者の記憶を形に残さなければ、事実は失われるとして本作は撮影された。

最近はなにかと中国国内での規制、例えばネットゲームの利用時間、塾の禁止、エンタメの制限が話題に上がるが、今振り返るとものと1番とんでもないことを言っていたのは産児制限だったと思う。
小学生の頃、社会の教科書で学んだ一人っ子政策がいかにむちゃくちゃだったのか、教科書だけでは学べない事が関係者へのインタビューでわかります。

党の考えに屈しながら粛々と政策を進めた者、自身の当時の行いを悔い償う者、政策は間違いなかったと今でも確信する者。

個人の感情より、国益を優先する。戦争みたいなもので、死は避けられない。(政策を実行していた生産委員の言葉)
政策がなければ人食いが起きていた。食べる者がなかった。(一人っ子の親世代の言葉)
政策は政策だから恨みはないという。(
政策のため娘を人身売買業者に引き渡した女性の言葉)

不思議と政策で辛い思いをした親世代は一人っ子政策の苦しみは口にするものの非難をしない。それは、言論統制によるものなのか、心から信じているのか計りかねた。

海外では中国からの養子が人気であったという。その理由は手続きや料金形態が100%クリアだったから。一人当たり1万ドルから2.5万ドルが相場だった。しかし、その孤児たちの出生や施設に来た経緯は全て偽造されたものであり、里親たちはその事実を受け入れられないこともあるという。

当時、被害にあった親世代はみな、仕方なかったという。人生の決断を全て人に決められると、結果に責任を持てなくなる。残るものは無力感。。。
監督は現在中絶を規制しているアメリカも、自由を阻んでいる点で過去の中国と同じだと締めくくった。歴史を繰り返してはいけないよ。

シェイシェイ。