Haman

一人っ子の国のHamanのレビュー・感想・評価

一人っ子の国(2019年製作の映画)
3.5
命の軽さ。1979年から人口削減のために中国で行われた一人っ子政策を追ったドキュメンタリー。

「堕ろせ 流せ 絶対に産むな!」
「出血で川ができても2人目は産ませない」
街の至るところに書かれた標語のパワー。歌や京劇、お菓子のパッケージにすら一人っ子政策の利点をつらつらと表記する圧巻のプロパガンダ戦略。

それによって民衆の洗脳が完了しても、どこの家も家系を継ぐ息子が欲しいという至極当然の状況下に娘が産まれることで歪みが生じる。
堕胎、置き去り、人身売買。全員が口を揃えて言う「仕方なかった」が積もり積もって出来上がった闇。
中国全土で蔓延る闇のマーケット国際養子縁組は国ぐるみで拉致を行い双子であることすら許さない。個人vs国家になった時の無力感が半端なくやるせない。

現在の中国は二人っ子政策を打ち出していて、歌も劇も標語も全て塗り替えて「二人っ子は素晴らしい」を謳ってるらしい。なんか、本当に、すげー国だなって素直に思った。
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