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HOKUSAIのtaominicocoのレビュー・感想・評価

HOKUSAI(2020年製作の映画)
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東京国際映画祭2020 のクロージング作品。世界最速上映とのことで、海外のメディアも取材に駆けつけていました。

葛飾北斎の青年期を柳楽優弥さん、晩年期を田中泯さんが務めています。

舞台挨拶で田中泯さんが「欧州やアメリカ含め、世界中で映画を観られない地域が多い中、ここにいらっしゃる皆さんは、とても選ばれた人だと思います」とおしゃっていました。

おっしゃる通り。劇場で映画が観られる境遇に、心から感謝しました。


江戸時代に90歳まで生きたという、超長寿の葛飾北斎。「絵には世界を変える力がある」という言葉を胸に、力の限り絵師人生を全うします。

"人の心を惑わす娯楽は悪"とされていた当時、幕府の統制に翻弄されながらも、本能のままに描いて、描いて、描きまくる……。その情熱と執念は、歳を重ねる度に醸成され、誰も手の届かない存在へ。

とにかく、役者さんの演技が素晴らしかった!

他の絵師への嫉妬、自分の"絵"が見つからない絶望を、柳楽さんが繊細に演じ切っていました。

北斎の絵の代名詞でもある「ベロ藍」。鮮やかな青の顔料と出合った時の喜びの舞は、舞踏家の田中さんにしかできない演技。圧巻です。

何歳になっても、自分へそして、世間へ挑戦し続けた北斎。
不屈で純粋な精神に、どの年代の人も勇気づけられるはずです。
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