「エキセントリックジジイ伝説」である。
田中泯さんの表情が、動きが、もう沸き上がるようにおかしくてそしてそれ以上にエモーショナルである。
柳楽くんは腐ってても目がほんとに澄んでて(それこそが彼の狂っているポイントなのかもしれない)、この人は絶対にすごいものを生み出せる人なんだ、と思えた。
私は嫌いじゃないです。
ストーリーがどうこうより、この時代の文化大好きだし、色合いの美しさ、とくに赤と藍色の美しさが最高だったし。
陰影も美しく。
あ、でもあの人が曲亭馬琴だっていうのは帰宅後ネットでいろいろ見てて初めてわかったことなので、それはやっぱりちょっと作中で触れてほしかったかな(詳しい人は「さきち」という名ですぐピンとくるのかもしれないけど)。
公式HPの登場人物紹介にも馬琴やお栄さんが載ってないので、重要人物やん!って思いました。
はるか昔の話だけれど。
彼らは「自由に表現できる世」を渇望しながら創作を続けたけれど。
じゃあ果たして今は彼らに胸をはれる日本かっていうと、ちょっとまっすぐには言えないなあ。
しかしそれにしても、「業」を背負った人間、芸術に魅入られた人間というのは大変だなあと思う次第です。
そうとしか生きられないのだから。