オオイタ

ハニーボーイのオオイタのレビュー・感想・評価

ハニーボーイ(2019年製作の映画)
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映画や小説に用いられがちなガバガバ心理学に疲弊しがちだけれど、本作は主人公が父親から受けた(一言で片付けられないけれど) DVを受けたことでPTSDになってしまい、暴露療法を受けることになる、というストーリー展開の元、納得というか、こういう映画が観たかった...と感じた。

父親を演じたシャイア・ラブーフの実話を元にした脚本でメタフィクションで話が進む。だからこそ、劇的な展開はないけれど、それこそ本当の治療というか、劇的な展開がないが故に治療のプロセス特有の曖昧さが、ラストまで曖昧というところにひどく感銘をうけた。

映画はエディプス・コンプレックスだ!と俗流精神分析をされがちだが、本作はシングルファーザーであるため、母親が本編に登場しない。これによって話が複雑化して、そういった安易な分析を拒んでいるように感じる。

だからこそ、あまりにパーソナルな仕上がりになってるため、父親と息子の関係に当てはまらなかったり、明瞭なストーリー展開が好きであったりする人からすれば、本作は退屈以外の何者でもないはず。

レビューが低めだからといって、本作のような本当に少数の人に刺さる作品を観る機会が失われるのは残念だし、だからこそレビューに左右されず気になったものは足を運んで観に行くことが大事だと、月並みだけれどそんなことを考えたりした。
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