スクラ

ハニーボーイのスクラのレビュー・感想・評価

ハニーボーイ(2019年製作の映画)
4.0
<シャイア・ラブーフの原点が垣間見える映画>

トランスフォーマーが好きな私にとってシャイア・ラブーフは、TFシリーズでサム・ウィトウィッキー役をつかみ、一躍有名になったけれども、私生活はお騒がせなニュースが飛び込んでくる役者というイメージ。
(TFの制作もシャイアの私生活のけがで一時中断になったし・・・)

そんなシャイアが今作では脚本を担当し、自身も劇中で父親・ジェームズ役として出演している。ジェームズの子・オーティスの幼少期を演じるのは、ノア・ジュプ。
劇中の父と子の関係は子役時代のシャイアと父の関係が投影されているようだ。子役で活躍する息子の稼ぎで生活している父との間の歪な関係。そこには普通の親子の愛は無いように見える。親子の愛は本来無償であるべきなのに、無償の愛は存在しない。「痛ましい」と表現するのが適切なのかは観る人によって異なる意見に分かれそうだけど、私は観ていてひたすらに痛ましさを感じた。オーティスにとって子役として活躍することは、父との関係を保つかすがいだったように見える。
これが俳優・シャイア・ラブーフの原点に通ずると思うと、彼の異端児ぶりも納得がいく。

自身の経験を基に胸のうちに秘めた様々感情を作品へと昇華させたことでこの映画は間違いなくシャイアにとって分岐点となりそう。彼の今後のキャリアの歩み方や演技(そして、私生活)にどんな変化が起きるのかがとても楽しみ。

悲痛な子ども時代を演じきったノア・ジュプは、天才子役の名に相応しいと思うし、今後はどんな映画でどんな演技を見せてくれるのかも注目している。今回は複雑な心境を秘める少年を演じているけど、年相応のキラキラした笑顔を見せてくれる『ワンダー 君は太陽』もおすすめ。

(余談)
冒頭のあのシーン、絶対にTFのオマージュですよね。
TFシリーズはシャイアにとって様々な思い入れがある作品なんだろうなと思った。(ベイ監督の下での撮影大変だったものね。)
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