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キル・チームのparaのレビュー・感想・評価

キル・チーム(2019年製作の映画)
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リアルな音や光景に、最初から最後まで気持ちが弛緩することなく、張り詰めた空気のまま進む。

2010年 米軍がアフガニスタンで行った民間人殺害事件の実話がベース。

戦地の話でありながら、平時の組織でも起こり得る構図だと思う。(イメージとして政治家と秘書。強権を持つ上長と部下。)

作戦開始時にまるでゲームのように「Let's Party!」と合図する。
思わず嫌悪感を抱くが、
実際の戦地で相手からニコニコ笑いながら攻撃されたりすれば、最初は自身が生き残るためであってもそのうちに麻痺したり快楽を得てしまう人が存在するのが戦地なのかもしれない。

さらに属する組織に流れる空気に異を唱えることの難しさ。
そこでどれだけ良心を持ち続けられるのか。
「良心の空砲」じゃないけれど本来は殺戮に罪悪感を抱くはず。
国家の大義があると許されるけれど殺人は殺人。
最後に流れるテロップに少し安堵し、
軍の暗部をドキュメンタリー製作および映画化するところは、臭いものに蓋をしない社会の凄さを感じる。

アレクサンダー・スカルスガルドの表情が巧みだった。

追記
9.11の憎悪が人種嫌悪を生み、そこから派生してゲームになってしまったのかな…
ドキュメンタリーの方もいつか観たい。
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