ゆう

私のちいさなお葬式のゆうのレビュー・感想・評価

私のちいさなお葬式(2017年製作の映画)
4.5
観終わってのじわじわ感が半端ない。観て良かった。すごく刺さった。久しぶりの高得点!

まず、エレーナの表情が可愛すぎる。老眼鏡で大きくなった目に、横一文字ににキュッと閉じた口がよい。こんな可愛いおばあちゃんになりたいもんだ。

余命宣告を受けたエレーナの「完璧なお葬式計画」は、可笑しかったり切なかったりで、期待以上の面白さ。これぞまさに今流行りの終活。

死亡診断書をもらうための検死のシーンや、殺してくれって頼んだ親友と呑んだくれるシーンはもう最高だった。

クセが強い親友に、駆けつけてくれる友人に、助けてくれる隣の若者に、慕ってくれる教え子に、エレーナは村でひとりぼっちな訳じゃない。たくさんの人から慕われている。素敵な人生を送ってきたのだろう。

いちばんの愛する存在である息子に、死後に迷惑をかけたくなくて取った行動はすごく分かる。息子になにか食べさせたい、一緒にいたいっていう想いもよくわかる。息子が幸せなら、親はそれでいいのだ。

解凍された鯉のように、だんだん息子の心も解凍されていき、二人で楽しく食事をするシーンは、心温まってうるうるだった。

最後は誰だって亡くなるけど、エレーナは自身が望んだような亡くなりかたができたけど、やっぱり切ないラスト。

いろんな感情が湧いてきて、これまで観た他の作品と被らなくて、心に残る初めてのロシア映画だった。

今ロシアは色々あるけれど、そこに住む普通の人々は、きっと映画の中のように愛すべき存在なんだよねって思う。
ゆう

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