あつお

ラスト・クリスマスのあつおのネタバレレビュー・内容・結末

ラスト・クリスマス(2019年製作の映画)
3.5

このレビューはネタバレを含みます

同名の曲から影響を受けた映画。
主人公のケイトは、歌手を目指して日々オーディショを受けている。しかし結果は伴わず。否定され続ける日々。芸術分野で成功するのは難しいのだろうか。生計を立てるためにクリスマスショップに勤務するが、その業務中にトムに出会う。トムは風変わりな男性で、常に上を向きながら何かを探している。ネガティブに考えるケイトに対して、ポジティブに捉えるよう促しているのか。踊りながら歩くトムの姿に影響され、ケイトの行動も変化していきます。現実逃避のために、酒を浴びるように飲むケイトでしたが、次第に人助けのために時間を使うように。以前は自分のために、夢のためにエネルギーを使い果たし、食生活は不健全。そんな彼女が、ホームレス支援団体のボランティアとして活動する中で、小さな幸福を見出すようになったのです。しかし、その一方でトムが表れない日々が続く。胸を締めつけられる衝撃のラストへ…
「Wham!」曲中では「Heart」を捧げたと語っておりますが、それを二面的な解釈によって表現した作品となっております。映画中の、全てを悲観的に捉える母親と成長後の主人公のケイトの姿は対比的な印象。人はお互いに支え合う生き物ですが、他人の善意には中々気付かないもの。どうしても自分の行った行動ばかりに目が行ってしまいます。本当は、周囲に多くの善意が溢れているのに。それに気付くだけでも、幸福度は向上するはず。日常に存在する幸福に気付かされる映画でした。
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