きなこ

ディック・ロングはなぜ死んだのか?のきなこのネタバレレビュー・内容・結末

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このレビューはネタバレを含みます

私は結構すきだった。
最初のバンド仲間と歌って笑ってふざけているシーンがゆったり流れて音楽も暖かげで、でもそれが不穏な感じがするのがまずよかった。
血まみれの席に乗って血まみれになった娘が保安官の女の人と話しているシーンがハラハラさせられるいい場面だと思った。あと娘の温度感がいい、ヒロイン気質。

保安官の女の人とおばあさんがなんと言うかすごい違和感を感じさせる人で、綺麗にそつ無く演技する人よりもこの映画にあっていると思った。不器用さとか、飾り気のなさとか、本当に変な間。この2人の存在感がストンと入り込んでこないでひっかかるようなところが映画の雰囲気を作っている気がした。

主人公が、コメット対する執着(愛情?)が捨てきれていないと思われるシーンとしてブラッシングが上裸だったり、保安官に捕まるときにコメットだけ逃がしていたり(実際コメットって別に捕まらないんだろうけど……捕まります?その不必要さがいいんですけど)するところが「本気なんだな」と思った。

保安官の女が同性愛者で、その保安官の居る前で主人公と妻が車を同性愛者みたいで嫌だと言うシーン、どういう意味が込められていたのかはわからなかったが、このシーンが咄嗟に嘘をつくシーンということもあり、非常にサラッとしているところがいいと思った。そういう皮肉。

凄まじい秘密が会話劇で進む。
ままならなさを感じさせる話だった。
きなこ

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