とんでもなく愚かだけどもあまりに切ない男の、ちっぽけだけど譲れぬプライドが生む苦悩……
……のように見せかけて、実は強烈なムラ社会映画でもあった。
今作は典型的な「若い馬鹿な男たち」が豪快に失敗してくれたからこそ「笑える」ものになっているし、対抗の女性たちと対比してわかりやすく「潔白と醜悪」の構造になっている。
でも実際は純白な人間なんていなくて、誰だって「秘密」を抱えている。
ってことは誰にだって彼らの立場になりうるリスクはあるわけで。
彼らを嘲笑する流れが、ともすれば他の人々にとって「笑えない」追い込み方をする恐ろしさを感じてしまったし、それが及んでしまうのではという描写も確かにあった。
いや、もはや手遅れなことも。
そしてこの「ムラ社会」の問題は、今この世界における感染者に対する反応でまた露わになってしまっている。
「チューニング」されない、できない人に対する冷たさを、今作は笑わせながらも鋭く映し出していた。
すっごい安易な言いかたをすると、今作は"ムラ社会版「パラサイト」"とも捉えられる。
コトを終えた後の男たちの目に映る周囲の反応、それを受けた彼らを通して、今作が何を
「本当に愚かなこと」
だとしているのかが見えてくる。
とはいえ自分でこのスレッドを見て「お前考えすぎだぞ」と思うほど、今作は馬鹿でおかしい物語です。
なのでそんなに構えずに観に行ってください。
とにかく馬鹿なんで。