ヤマダタケシ

ディック・ロングはなぜ死んだのか?のヤマダタケシのネタバレレビュー・内容・結末

3.4

このレビューはネタバレを含みます

2020年8月19日 アップリンク吉祥寺で

・馬とエッチしてたら間違えて死んでしまった。その事を隠そうとする話っていうのが何か世界仰天ニュースっぽい話だなと思って見ていた。ていうか、ある種の洋画ってそれに気づいた瞬間から世界仰天ニュースっぽく見えて来てしまう事がある
・しょーもない男たちが起こした小さな事件の真相が、田舎街全体を巻き込む出来事に発展していきそうな感じは『ファーゴ』を連想したりした。
・主人公がディック・ロングの死の現場に立ち会っていた事を隠そうとする。物語が進むにつれてそれはもうボロボロに明らかになって行くのだが(その過程が面白い。特に状況を何一つしらない娘の忖度なしの発言によって追い詰められていくところ。)真相がしょーもないので、それによって家族が崩壊したり自分が大事にしていたものが離れて行く様が描かれシリアスになっても、いまいちそこに乗りきれない。
・そこで起こる夫婦の関係の終わりや娘との別れは悲しいのだが、その原因が馬とエッチしてたからという部分でどうしても笑ってしまう。
・何かでも個人的にけっこうここの部分重要な作品な気がしていて、例えば妻に今まで馬とエッチしてた事を告白する時の感じとか、あと馬を逃がすシーンとか結構切実なように感じたのだ。〝馬とエッチしてたら死んじゃった〟って他人に話しても笑い話にしかならないような内容なのだが、観ているうちにそれがどうやら死んだディック・ロングを含め三人の間
ではとても重要な事であったような気がしてくる。
その切実さを他人に理解してもらえない欲望を持ってしまった人たちの話として観ると、笑えるのだが同時に哀しさも感じた。
・それを追いかける警察官がレズビアンである事をカミングアウトしながら受け入れられてるという設定も、より彼らの理解され無さを強く感じさせた。