在宅医の河田は末期癌患者を担当していた。
しかし忙しさと家庭の事情で救いを求める患者の娘に十分な対応が出来なかった。
そして苦しみ抜いた末、亡くなってしまう。
「尊厳死の宣言書 Living will」
(回復の見込みがなく死期が間近に迫った人生の最終段階において、延命治療をしてほしいか、してほしくないか等について、主治医や家族に知らせるために、判断能力が十分なうちに示される意思)
入院し延命治療を選択する患者、またはその家族。
そして『痛くない在宅医療』を選択する患者、その家族。
難しいところだと思う。
入院していれば家族は安心していられる。
しかし管でいっぱいにされ苦しみを伴う人も。
点滴や管を通される事によって唾液や痰で”溺れ死んで”しまう。
とても苦しそうだった。
だから在宅医は患者が苦しんでも救急車は呼ばず”待って欲しい”と家族に訴える。
この事実にとても驚いた。
私の母も在宅医療だった。
癌ではなかったが在宅医として先生が来てくれていた。
本当に素晴らしい先生で大変お世話になった。
どんな時も電話をかけると来てくださった。
人間味のあるとてもいい先生だった。
私は一生忘れないだろう。
母は亡くなる直前に病院に運び込まれた。
だけど母は苦しまず穏やかに亡くなった。
看病するのは家族。
肉体的にも精神的にも疲れ果てる。
しかし大切な家族のために頑張る。
だから疲れ切った家族は入院という選択も出てくる場合もある。
どちらが良くてどちらが良くないとは決して言えない。
私だったらどうすだろう。
家族を犠牲にしてまで在宅医療にするのだろうか。
また犠牲にすると言う考え方がそもそもおかしいのかもしれない。
とても難しい問題を投げかけられている様に思った。
在宅医療のスペシャリストである長尾和宏さんの「痛くない死に方」「痛い在宅医」を映画化
高橋伴明監督作品