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劇場版 SHIROBAKOのgnspのレビュー・感想・評価

劇場版 SHIROBAKO(2020年製作の映画)
2.5
ネタバレ箇所が基礎になる作品ゆえ詳しくは言えないが、なるほどこれも「初恋」と同じ"足掻く"物語ではある。

TVシリーズからのファンにとっては、あの「人」たちにもう一度会えるだけでも嬉しいものなんだけど…
半年間を共に駆け抜けた結果得られたTVシリーズのカタルシスと並ぶものを作るのは、そりゃ難しいよな…


「ムサニ」の人々とチャーミングなかけ合いも相変わらずだし、ガルパン最終章に続いて「努監督の趣味全開ゾーン」もあったし、120分飽きない作りにはなってる。

けど、30分細切れで見せていくTVシリーズにあった「一緒に駆け抜けている」感覚は、90-120分一気見の映画には無い。
これは仕方のないことで、実際ほかの劇場版アニメは、通常1エピソード(短くて)23分を「映画」といえる尺まで拡張して作ってるところ。
しかし、こと「SHIROBAKO」に関してはその1エピソードは「企画立ち上がり→納品」で1クールを消費しているので元から長い。尚かつそれを2クール目で反復することで、「前回(1クール目)からの反省」という成長譚を組めた。
それによって、半年を共に駆け抜ける、一種の「共犯関係」「親目線」を作り、深めることができた。
ずかちゃんに関してのカタルシスはそれの代表例。あの感動は半年間見守り続けたからこその唯一無二のものだと信じてやまない。

しかしこの「共犯関係」によるカタルシスが劇場版では同じ手法で生み出せない。
TVシリーズではこの特異なカタルシスが十二分に発揮されたが、反面劇場版ではこれが活かせない題材。
あと、続編にはよくある「成長したキャラがメンターになる」ことを今回藤堂がやってはいるものの、宮森・安原が後期クールでやってたから目新しさはなく。

ではどうしたか?
劇場版は、努監督の意志や作品の存在自体も含めた「ONCE AGAIN」に仕立てている。
分かりやすい「絶対悪」を設定し、それの打破と復讐のための挽回…
としたものの、やはり劇場版の「圧縮」のため、時間感覚が曖昧になってしまっていたように感じる。


…蛇足ってことになっちまうのかなあ;;

ただこの5人の物語はまだ見たいのは確かな気持ち。
いつか七福神編を、どうか「TVシリーズ」で。
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