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Redのtaneのレビュー・感想・評価

Red(2020年製作の映画)
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その「赤」は「終わり」の象徴でもあり、一方で新たなる「始まり」の予感でもある。

あたりまえにある真っ白い日常に、「赤」の誘惑が容赦なくおそいかかる。

白いワンピース、白いボール、潮騒の光の波、白い雪。

生命の源の赤、吐血する赤、ひらひらと舞う赤い布、夕景の海。

「私」という存在が、果たして真実の「私」であるか否か⁉︎ それを模索する旅が人生だとしたら、幸せそうに見える白い日常というものは、見方を変えれば虚構である可能性もある。

誰がそれを「私」に気づかせてくれるのですか? 白い日常を与えてくれる人か、白い日常を打ち返すほどの解放感を与えてくれる人か、それとも真っ白い雪を真っ赤に染めるほどの愛を注いでくれる人か。

盲目の店主と妻は、真っ白に閉ざされた世界で、一体何を見ている?

「私」という存在に、真実の希望を見出すために、彼女は何を見て、何を選ぶのか?

誰にでもある人間の葛藤と希望(あえてそう言いたい)を描いた、三島有紀子監督渾身の作品。

映画『Red』、必見です。
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