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マトリックス レザレクションズのIDEAお休み中のレビュー・感想・評価

4.1
時代を切り開いたマトリックス3部作。
完結から18年…長き時の経過ゆえに斬新さは失われ、残ったのは愛と郷愁。

あの日あの時、閉じてしまったマトリックスの中に置いてきた心残りを手繰り寄せる148分。


《今作はいったい何なのか》
1作目の続編であるとか、独立した1つの作品であるなどの前情報があったのだが、鑑賞してみると全くそうではない。
マトリックス3部作の純粋な続編であった。

マトリックスの世界は常にアップデートされてきた。
今回は時代の波に抗うようなアップグレードであったのだろう。

しかし、マトリックスシリーズを通して描かれるテーマは不変。それは3部作から一貫して"愛"。
そう、今作も鍵となるのは愛の力だ。
ネオとトリニティー、2人の愛が世界を塗り替える。


《革新か、復活か》
今作を観て、多くのマトリックスファンの皆さまは否定的な感情に支配されただろうと思われる。
私が愛したマトリックスではない…と。

当時味わったような刺激は鳴りを潜め、どこかお茶を濁すようなカット割り、旧作のつぎはぎ映像が挿入され、新たな技術を駆使した革新的な映像体験も得られない。
マトリックスに強い思い入れを持つ方ほど認め難い作品であると思う。

しかし今作はレザレクション【復活】だ。
18年の時を超えて救世主が復活したのだ。
マトリックスの世界が今またここに存在している。
その意義深さを噛み締めたいものである。



注)以下、作品の内容に触れます。






《監督の思いは如何に?》
物語の序盤に現実の世界、とりわけ今作の制作についての皮肉めいたセリフが展開される。どうも監督はあまり今作の制作決定を快く思ってないのでは?と感じさせられた。
この序盤の展開こそが不興を買う原因であり同時に本作のポイントであるように思う。

序盤で皮肉を言いつつも、物語のラストにはトリニティーが【2度目のチャンスを与えてくれたことへの感謝】を述べるシーンがある。制作を進めていく上で監督の心境に何らかの変化があったのだろうか?

トリニティーが言う【2度目のチャンス】を監督が活かしきれたのかは分からないが、結果として既存のマトリックスの世界観に新たな種を蒔いたことには違いなく、レザレクション後の未来に思いを馳せることができる希望のラストであった。

誰もが『救世主』になり得るのだ。
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