風来坊

マトリックス レザレクションズの風来坊のレビュー・感想・評価

3.5
映像革命の名の通り「マトリックス」は当時は20代の私に衝撃を与えた作品。ストーリーは分かったようで分からないが、そのインパクトある映像に酔いしれました。

3部作の終焉「マトリックス レボリューションズ」はネオは自分を救うのではなく、自己犠牲で人類を救う間違いなく救世主だったと思うこれしかない終焉で見事に終えたと思います。

それから18年後、新作の発表に心が踊りつつも…。意見の相違で姉妹監督が揃わなかったり、ラナ・ウォシャウスキー監督が両親の死去の悲しみを紛らわせるために製作されたとか、一部の主要キャストが続投しないとか漂う地雷臭に不安でしたが…。

実際に観ると思ったほどは悪く無いと思うものの、三部作に迫る物があるかと思うと何とも微妙でした。
長い年月の間に監督が女性になった事により、尖った世界観がマイルドになり愛がテーマになっている印象。

説明は若干あるもののトリニティを救う事が世界を救う事になるのが分かりにくく、ただネオがかつての女性を取り戻したいだけに見えてしまう…。
モーフィアスもスミスも存在が軽く、前シリーズにあったような圧倒的な威圧感がありません…。

じゃあ新しいキャラクターが活きているかと思うとこれも何とも微妙…。
サイキッカーのようなネオなのに、飛べないというのはストーリー上のこぎつけのような感じで説得力がありませんね…。
前半はネオやトリニティの置かれてる状況を恋愛映画のように丁寧に描いていましたが、後半は突然に駆け足になり取ってつけたような展開で残念。

もう免疫が出来ているので1作目のインパクトはないですが、映像演出は独特でやはりマトリックスだなと思います。
超スローモーションと通常の動きとの組み合わせや、終盤のカオスな攻防は圧巻。前シリーズの映像を使用した演出も粋でした。

ワイヤーアクションをふんだんに使用したアクロバットなカンフーアクションも相変わらずで楽しいですね。

前シリーズのオマージュのような展開もファンには嬉しいところ。しかし、これにより続編というよりはリブートに見えてしまうのも欠点か…。
ワーナー・ブラザースとの関係を話題に出したり、前シリーズの話がゲームだった事になってたりと面白かった。

エンディングもレイジ・アゲインスト・ザ・マシーンのカバー曲でやっぱりマトリックスにはこれだなとニンマリ。
期待を超える事はなかったものの、伝説のシリーズの18年ぶりの新作としては無難に落とし込んだかなと思う作品でした。
風来坊

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