toshi

地獄の黙示録 ファイナル・カットのtoshiのレビュー・感想・評価

3.9
ずーっと観なければ、と思っていて、なかなか手を出せずにいた作品のひとつ。
観終わってみて、思っていた作品と、またちょっと違った。
プラトーンのようなドッカンドッカン爆撃するような映画だと思っていたし、カーツ大佐がもっと前面に押し出てくる映画だと思っていた。

そしてあの有名な、川から顔を出すカット、あれはずっとカーツ大佐だと思い込んでいたが、まさかウィラード大尉だったとは。
未見で、そう思い込んでいたということは、まさしくウィラード大尉が、次のカーツ大佐のように狂気に飲み込まれてしまったことを半ば意味している通りなのかもしれない。

カーツ大佐の「理性的判断が敗北を招く」という言葉。
その言葉の前後の彼の話からしても、その言葉はその通りなのかもしれないが、理性的判断ができないほど、いやむしろ理性的判断としてそれが正しくないと分かっていても、ある種殺人マシーンのように無感情に殺せてしまうほど訓練されたとしたら、カーツ大佐の言う通りに最強の軍団になるのかもしれない。
でも戦争が終わった時に、その人たちはどうなってしまうのだろうか。
かつての日常に戻れるのだろうか。
もしくは戦争という日常でしか生きられない、カーツ大佐が作った帝国のような場所でしか生きていけなくなるということなのか。

それにしても戦争ものの映画を観るたびにつくづく思う、よくあんな銃撃の嵐の中を生き延びた人たちがいるもんだと。
そして、そんな世界が今も同じ地球上で広がっている国と地域があるという事実が、やはりどこか信じられない、というか、どこまでいっても実感を伴わない。

しかし、ウィラード大尉が「チャーリー・シーンに良く似てるな…」と思っていたら、チャーリー・シーンの実の父親だったことが結構な驚き。
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