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ルディ・レイ・ムーアのEDDIEのレビュー・感想・評価

ルディ・レイ・ムーア(2019年製作の映画)
4.2
'80年代以降の黒人ラッパーたちに多大な影響を与えたルディ・レイ・ムーアの映画製作成功までの伝記。ぶっ飛んだ下ネタばかりだけども、彼の苦労した道を伴走して終盤は泣かされましたよ。

1970年代に活躍したルディ・レイ・ムーア。正直私この人のことを知りませんでした。
ゴールデングローブ賞映画部門作品賞と主演男優賞でノミネート。惜しくも受賞とはなりませんでしたが、エディ・マーフィの出演作品がこれほどまでに脚光を浴びたのはいつ以来でしょうか。
と言ってもNetflixオリジナル作品なんですけどね。
私にとってのエディ・マーフィといえばやはり『ビバリーヒルズコップ』シリーズです。地上波吹替版で何度も山寺宏一の声で楽しませてもらいました。

そんな彼が主演し、まさにルディその人が憑依したかのような名演を見せてもらいました。
エディ自身も演技でたくさんの笑いを提供してくれましたが、彼もきっとルディの影響を多分に受けていたりするんでしょうね。

物語としては大きく分けて二部構成で、前半はコメディアンとしての成功を収めるまで、後半は自主製作映画に情熱をかけての苦労と成功という具合。
ルディは一度はコメディアンとして、レコードセールスでもビルボードにランクインするほどの売れっ子になります。ただそれは小さなコミュニティでの話。
彼の漫談にはいつも沢山の観客が集まり、大爆笑の嵐。下ネタ満載で、正直何が面白いのかわかんない部分の方が多いんだけど、観客の爆笑につられて笑ってしまいます。彼はそれほど人を取り込む能力に長けていたのでしょう。

彼の転機はクリスマスに仲間たちとコメディ映画を観に行ったとき。白人の観客たちは笑いが絶えませんが、彼らは何が面白いのかわからない。批判ばかりする仲間たちに比して、冷静に状況を分析するルディ。
なぜこれが全米中で公開されていてウケているのか。俺たちもっと面白いもんが作れんじゃね?って具合に映画製作をスタートさせるわけです。

後半パートは前半パートの比じゃないぐらいの苦労を見せられます。だけど、ルディはいつも前向きで映画の絶対の成功を信じているんです。その彼の強い心ですら一度折れかけるんですが…という具合に映画的にどれほど脚色されているのかはわかりませんが、彼の成功にはたくさんの苦労が重なりながらも、色んな巡り合わせでいい方向に進んでいくんですね。

彼の苦労を見せられてきたからこその映画初上映のシーンでは涙が溢れてきました。
まるで『ワンス・アポン・ア・タイム・イン・ハリウッド』のマーゴット・ロビー演じるシャロン・テートが周りのお客さんの反応で一喜一憂する感じです。
とにかく成功までの紆余曲折ありながらも、一つのカルト的人気を誇った映画『ドールマイト』ができるまでを、自分の信念を貫き通し、人を楽しませることに全力だったエンターテイナーの存在を知れて凄く良かった。

ほか、ウェズリー・スナイプスやスヌープドッグ、バリー・シャバカ・ヘンリーらも出演しており、映像的にも楽しめました。

完全に方向性としてはコメディなはずなんですけど、ところどころ涙腺が緩んじゃいました。Netflix加入者にはオススメいたします。

※2020年自宅鑑賞107本目
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