おりょうSNK

山田のおりょうSNKのレビュー・感想・評価

山田(2019年製作の映画)
5.0
隙間時間に短編を鑑賞。

「山田」
2019年 日本 19分
U-NEXT鑑賞

山奥で首をくくろうとしていた男。最後の最後の思い切りがつかないその瞬間、見知らぬ男が現れて、ドタバタの煽りを受けて首を括ってしまうが、その男に助けられる。

「俺が来なければ危なかったな」
「???」
 
「こいつは罠だ」
ロープを手にし、このあたりはやつらがうじゃうじゃいるから逃げるぞと手を引く。

山田と名乗るその男の発言や行動はほとんど「すごいよ‼︎マサルさん」のそれ。

「お前の名は?」
「小林」
「いい名だ!」

見えないものと戦ってる。 
見えない脅威から世界を救ってる。
手にした拳銃には「対象年齢6歳以上」シールが貼ってある。誰かと取り合ってる連絡に使ってるものはホワイトボード用イレイザー。戦いの果てに手に入れたというチーかまが主食だ。

死んだらそこにはあいつらがいるんだぞ!
俺は生きる!
やつらに殺されてたまるか!
俺は生き抜くぞ!

そんな山田の言葉に、死ぬつもりだった小林は咽び泣く。その横で、見えない敵と銃撃戦に興じてる、いや、命を賭して戦っている山田。

「すごいよ‼︎マサルさん」展開はまだまだ続く。

「俺の釣った魚はうまいぞ、食え」と山田が差し出したものはイワシの缶詰、味噌煮だ。

チーかま時点では懐疑的だったが、いわしを腹へ流し込む小林。なんて美味いんだ。山田の筋トレに付き合いはじめる小林。

「何歳?」
「19歳だ」
「嘘だろ。てことは学生?」
「?俺は山田だ」

ついに、見えない敵と戦い始める小林。山田の本気がそうさせた。そして、見えない敵の見えない銃撃から身を挺して小林を守った山田は、見えない血を流し、命を落とす迫真の演技、いや、絶命する。

「対象年齢6歳以上」シールを剥がし、頭を撃ってからその場を立ち去る小林。

短尺でこうも深く掘り下げられるものかと膝を打つヒューマンコメディ。二度見した。
脚本、編集も手掛けた馬渕ありさ監督、やり手だと思う。「映画かよ。」、ご存知だろうか。
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