さらうどん

街の上でのさらうどんのネタバレレビュー・内容・結末

街の上で(2019年製作の映画)
5.0

このレビューはネタバレを含みます

「愛がなんだ」がとても好きで、数ある作品の中でも上位だと思っていた。でも、これはそれを遥かに上回る、かな〜〜〜〜〜り好きな作品だった。

(あまり他作品を用いるのは良くないと思うが、)「愛がなんだ」において、ナカハラがいちばん好きなキャラだった。「幸せになりたいっすねえ」と苦々しい顔で呟く彼は、私の心をどうしようもなく掴んだ。幸せになってくれ〜!!!と叫んだ。それだけに、ラストで写真展に葉子が来たとき幸せの匂いがして、感動した。
今作で、若葉竜也が演じる荒川青は幸せになる。しかもモテモテ 3人(捉えようによっては4人)の女性が彼に好意を抱いていて、物語のラストでは想い人と結ばれる。冷蔵庫に放置していたケーキをふたりで幸せそうにつまむシーンを観て、本当に良かったねえと思った。
しかし、良くない。私が好きなのは城定イハだからだ。丁度いい距離感。きつすぎない関西弁。青のことを想っているだろうに、それを匂わせない健気さ。その全てが愛おしい。この作品におけるナカハラは彼女に他ならない。「幸せになりたいなあ」という彼女の呟きが聞こえる。ああ、幸せになってくれ。お願いだ

今作で特筆すべきは、何度も声が出るほど笑うシーンがあることだと思う。ゆったりとしたシーンもありながら、面白い所は面白い。その緩急がはっきりしていて、とても良かった。
また、性に関する直接的な表現がなかったのが良かった。個人的にあまり得意ではないので、安心して観られた。

敢えて残念だった点を挙げれば、男性キャラの掘り下げが殆どないこと/雪のパーソナルな部分があまり見えず、雪と青が結ばれることに手放しで喜べないことなどがあるが、2時間強の上映時間は流石に足りないだろう。6時間くらい観たかった。それくらいに素晴らしい作品だと思う。