くろさわ

街の上でのくろさわのレビュー・感想・評価

街の上で(2019年製作の映画)
4.4
早く直接人と会いたくなる映画

出会いあれば別れあり。
誰かと付き合ってそのまま結婚まで進む人たちもいれば、別れてしまう人たちもいる。

別れる後、相手のことが忘れられなかったり、新しい人と付き合ったとしても、昔の相手を忘れられなかったりする。
そういう時に、早く昔の相手を忘れろという声をよく耳にするけど、そんな簡単に忘れることができるなら忘れてるはず。

忘れたフリならできるけど、簡単に忘れられないのが人。
感情を制御できないのが人だと思っている。

コントロールできない感情に素直に向き合う人を描いた作品。それが『街の上で』だと思う。


個人的に恋愛感情を通して、人との出会いを描いた映画をとったら一番の今泉力哉監督の最新作。


物語はカップルの喧嘩シーンから始まる。別れたい意思を告げられた後も相手のことが忘れられない青年が下北でいろんな人と出会う物語。

この映画の好きなところは全員好きな気持ちに向き合っていること、そして全ての出会いが対面であること。

相思相愛って理想的な関係かもしれないけど、そう上手くいかないのが現実。
例えば、自分を振った相手や順位付けされている関係でもあっても、相手のことが好きであるということは変わらない。

相手の関係性も知らずにこじらせているや、メンヘラだなんて決めつける人もいるかもしれない。

それでも、自分の気持ちに素直に向き合っている姿ってなんか良いなって憧れてしまった。

そして、もう一つの素敵な点。
全ての出会いややりとりが対面で行われる。
メッセージやSNSなどは一切出てこない。
偶然ばったりあったり、言いたいことある時は直接話す。そんなやりとりが良かった。

コロナにより、友人や恋人でさえ気軽に会えなくなった今の世の中に、そんな社会状況を忘れさせてくれる映画だった。

見終わった後、あー早くみんなと直接会ってくだらないこと話して、盛り上がりたいなって思った。


『街の上で』見て、好きな人は今泉力哉監督のインスタに公開記念ライブのアーカイブもあるので、こちらもおすすめです。