まるで小津安二郎が撮ったSF作品。近未来を舞台に「家族」と「人間」とは何かという哲学的な問いを掲示していた。カメラワークは正に小津安二郎的。お父さんが白人、お母さんが黒人、子どもがアジア人とアンドロイド。血の繋がりが無いながらも、「家族」である彼女達の姿から「家族」の意義を問われる。冒頭のダンスバトルシーンこそが「家族」というものを体現しているのかもしれない。そして、アンドロイドのヤンが動かなくなる事で問われる「人間」とは何か。「記録」が「記憶」になる瞬間を目の当たりにした。特に、小津安二郎作品でも特徴的な、日々の煌めきをこの様な描き方で描いた事に脱帽である。音楽も良く、素晴らし過ぎて涙が止まらなかった。
