このレビューはネタバレを含みます
最初は弟映画か!と思ったけど弟要素は最初だけで、ほぼ「おじいちゃんと孫映画」でしたね。
途中までは楽しく見れたけど、
後半が今の私には受け入れられなかった···
価値観の押し付けじゃんってなってしまってもやもやする···
社会貢献として料理をふるまったり、町の食堂を続けるのはもちろん素晴らしいし意義あることだけど、だからといってパリでシェフをすることにも価値はあるし素晴らしいことでしょ?
なろうと思っても選ばれた人しななれないものだし。
パリでシェフになれる!って喜んでいる主人公を、「こっちの在り方の方が価値があるんだ」と思わせるような環境に行かせて、戻ってきたら食堂を継がなければならないような状況になっているとかほんとしんどい···これ私がやられたら心が死んじゃう···
たとえば主人公が、自分の料理の腕をシェフとして磨くか、町のために生かすか悩んでいるみたいな描写があったら、おじいちゃんの行動は背中を押したんだなと納得できるけど、あれだけ、パリに行けることを純粋に喜んでいた主人公に対してだったので、主人公が否定されているように見えてしまう。
先人として自分が苦労の末得た答えを指示してくれているんだろうけど、選択の自由は主人公にあってほしかった···
むしろ主人公の選択肢を丁寧に丁寧に潰しているように見えた···
おじいちゃんは放浪を、恵まれない人に料理を振る舞っている元シェフも10年以上シェフをしてから得た在り方なのに、主人公にはその時間は与えてくれないの···?
ずるいな、って思ってしまう。
父親は暴力的に主人公の選択肢を潰そうとしているからわかりやすいけど、おじいちゃんの方が善意と愛がある分、余計にたちの悪い選択肢の潰し方だよ···
誰も主人公の夢を応援してくれない。
あくまで“今の私にとって”なので、時が経てばまた違う見え方になるんでしょうけど。
今の私にはただただしんどかったな。