森達也監督だから期待はしていたものの、今年トップクラスに入る映画とまでは想像してなかった。
先だって公開された藤井通人監督「新聞記者」が「陰」と「鬱」なら、森達也監督「i -新聞記者ドキュメント-」は「動」と「騒」。
「新聞記者」が計算されたフィクションで全体において不安感を煽る絶妙なカメラワークや暗めのライティング。主人公の吉岡エリカは物思いにふけり、エリート官僚役の松坂桃李もまた明るい表情を見せることがない。
フィクションがこんな映画だから、ドキュメンタリーになったらどこまで暗澹たる感じかと思いきや、冒頭から望月衣塑子本人が走る!喋る!駆ける!
辺野古基地問題、宮古島弾薬庫、伊藤詩織さん、森友学園籠池夫妻、そして菅官房長官の今でも変わらぬのらりくらり会見…
記者クラブ問題か官邸記者会見のルール、森達也監督らしい取材拒否との闘いなど、映画が進むうちに多角的に日本がどんな国なのかというところまでまで常に画面は動きながら駆け抜けていく。
「i」とはなにか?
森達也監督独特の問いかけもたまらない。
(賛否両論ありそうな、けれんみたっぷりの演出もこれはこれでご愛敬)
フィクションよりもエンタメ性があり、よりドラマチックで躍動感を見せつけてくるリアル。
そして公開された今もまだ安倍政権は新たな問題が日常的に噴出している。
今だからこそ見るべき映画。