無何有郷

i-新聞記者ドキュメント-の無何有郷のレビュー・感想・評価

4.0
森達也の作品を何本か観たことは勿論あるけど、こんなにも被写体と一体化するような感覚になったのは初めてで、それは「i」という字がでた瞬間英語一人称のそれで わたしも望月衣塑子!となり望月衣塑子と心中するんだ(?)というような情動に駆られた。この映画はドキュメンタリーとしては評価できないかもしれない、でもそれより先に、森達也にこういった表現をさせるくらいのところまで今この国はヤバイのだという切羽詰まった感覚が来る。

個人的には最後の語りは好きではない、というのも、これだけ国家による暴力が日常的に公然と行われるのを阻止できない私たちは、個人とか人間以前に動物として終わっているからだ、🐶ワンワン。どんなに躾けられた犬でも殴られたら吠えるだろう、それすらできない動物失格の私たちにとって、望月の食事シーンは野生的本能を目覚めさせるような、それは素晴らしい食いっぷりで、ニューオータニのパンケーキとのコントラストでキラリと光る。お腹すいた。
無何有郷

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