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今宵、212号室でのかずシネマのレビュー・感想・評価

今宵、212号室で(2019年製作の映画)
2.9
奥さん、すげー開き直るやん。
皆どうせ浮気するに決まってる、だから傷つく前に先手を打ってその傷が少しでも浅くなる様にしたい…って事かもな。
言い分を聞いてると。
そしてそうやって遊びを正当化してる。

これはジャンル的にはファンタジーコメディかなぁ。
要は「頭を冷やしてよく考えてみた」という話だけれど。
自分がしてきた事は勿論、もしも違う選択を相手に「されて」いたら…その場合に自分がどう思うかという描写。
「自分がもしもあの時にこの選択をしていたらこうだったかもしれない」ではなく、相手が主軸というのは珍しい気がする。
で、相手を主軸に相手の幸せについてよくよく考えてみるという事は、それ即ち「その人を愛している」という事。

なんかこう…設定とか演出とか、良いなぁ面白いなぁと思う事も多かったんだが、何か腑に落ちない仕上がりだった。
深堀しようとしている風な描写もあるのに表面的。
あくまでコメディ風味なので重くならない様に、わざとそうしているのかもしれないけど。
そしてそういった表面的なエピソードがいくつも出てくるので、風呂敷を広げ過ぎとは言わないが、何か若干散らかってしまっていると感じた。
最後も結局は自己完結で終わってしまった感じがして、なんか…考えがまとまった事自体はええんやけど、目の前の旦那さんと会話もないままなのはええのか?と思う。
あの後にちゃんと話をするんだろうけど。
本当に描写の仕方や持って行き方は面白いんだけどな。

おばあちゃんの「5世代でワーストよ!」には吹いた。
あと歴代の遊び相手の中の「僕は手を出していない」と握手をしていた眼鏡くんの台詞も酷くて吹く。
お母さんの「次々と男を取っ替え引っ替えしなければ生きていけないのに、どうして彼と結婚したの?」という様な台詞が確信をついていた。
現代のイレーヌさんの台詞は素敵だったな。
あと、奥さんとイレーヌさんの、同じ男性を好きになった者同士の不思議な友情みたいな描写も割と好き。
序盤のミニチュア模型の街のシーンの画が可愛くて好きだった。
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