シネマスカイウォーカー

WAVES/ウェイブスのシネマスカイウォーカーのレビュー・感想・評価

WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)
3.7
A24作品。

赤と青。シネスコ→スタンダード→ビスタ

思春期のどうしようもない形容しがたい感情がまさに波のように押し寄せるそんな作品。終始息を呑むような綺麗な画が続く。画がカラフルで綺麗な映画は最高だな。特に赤と青の使い方とくっきりした色の使い分けが上手い。青春とういう華の時期をカラフルに演出しているのが本当に素敵。
このメルヘンの色使いとは裏腹に思春期の不安定さから起きてしまった取り返しのつかない結末は本当に暗く重たい。正直これで画面も暗かったら良い映画だなと思えていなかったかもしれない。

目指すもの夢への希望も絶たれ、妊娠という子供には重すぎる責任を突き付けられたタイ。全てが思い通りにいかない。カッとなり気付いたときには時すでに遅し。綺麗な時間が突然にして失われる。

映画全体の感情の表現を”画角”で表現しているのもとてもよかった。最初の幸せな日々をシネマスコープサイズで映し出される。しかし事態が悪い方向になり、完全に取り返しがつかなくなってしまったその瞬間から画角はスタンダードサイズに変化する。これは「周りが見えなくなる」という本人の精神状況を観客にも疑似体験させる効果を狙っている。
そして再び家族という形を再認識するシーンではエミリーの視野と将来が広がるという意味で画角が広がりビスタサイズへと変化する。この画角の使い分けが本当に上手だなと感じた。

思春期の感情をその美しい画づくりで表現しているとてもよく出来た映画だった。

Instagramの向こうで好きな人か楽しんでいるのを見て、それに嫉妬し、むしゃくしゃしてどうしようもなくて、とりあえず筋トレするっていうこの感情は痛い程よくわかる。共感した。