Tatsu

WAVES/ウェイブスのTatsuのレビュー・感想・評価

WAVES/ウェイブス(2019年製作の映画)
4.1
賛否割れているが、自分はかなり好きだった。言ってしまえば、音楽を中心とした一つ違えばミュージックビデオ的な演出でもあるのだけれど、2000年代のMTV演出を通過し、この手の演出もいくところまで行ったのだなと、この間海外ドラマ『ユーフォリア』の演出を見ている時と同じように思った。カメラワークをアクロバットに動かしていくことによって、前のショットと次のショットをシームレスにつなげるというところ、そしてそのリズムの構築に音楽が貢献しているところも含め、高速紙芝居的なカットつなぎの従来のMTV演出とは一線を画している、映像と音楽のシンクロであると思う。フランクオーシャンや、ケンドリックラマー、そしてアラバマシェイクやレディオヘッドに至るまでの様々なアーティストの内省世界との共鳴も感心した。テレンス・マリックからの影響は確かにわかる。トキシックマスキュリニティのテーマの背景にスターリング・K・ブラウンのセリフから、やはり黒人社会の現実が見え隠れする。彼の起用も、『アメリカンクライムストーリー』や『ブラックパンサー』での彼の役柄を見れば納得。演出として好き嫌い分かれるのはわかる。
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