Omizu

グッドバイ 嘘からはじまる人生喜劇のOmizuのレビュー・感想・評価

4.0
よかった!成島監督は今時珍しいクラシカルな風格のある映画が作れる人だ。『八日目の蝉』でも思ったけど。

小池栄子はやはり素晴らしい女優。ダミ声は最初はどうかと思ったけどやはり彼女の素の声では成立しない役だし、必然だったと思う。

画づくりがよく、特に映画館の美術は素晴らしい!『人間失格』のギラギラしたルックではなく『カツベン』に最近だと近い。ただ、リアルなセットだけど舞台的な照明がさらっとあったりしてすごくよい。

前半は少し鈍重だけど、後半から怒濤のような残酷な展開になっていく。チャップリンが言ってたけど、まさに「バナナで滑って転ぶのは引いた画でみれば喜劇だ、しかし本人の顔をアップで映せば悲劇だ」ということ。かなり個人的には辛かったんだけど、ハッピーエンドだったのでよかった。正直泣いた。

脚本もよくできていて、なんてことないセリフや小道具が伏線になっていたり。さすが奥寺さん。信頼できる。部下の濱田岳も「大切なのは結局金だったのか?」と揺さぶってくる重要な役どころになっていてすごくよかった。

期待していなかったけどすごくよかった!こういうのがあるとすごく嬉しい。
Omizu

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