とーるさんし

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONEのとーるさんしのレビュー・感想・評価

1.0
今年暫定ワースト。

冒頭の潜水艦、砂漠の銃撃戦、続く室内会議とタイトル前のシーケンス3つにおける視点設計が位置関係も何もなく、無駄なカットを矢継ぎ早に繋ぐ落ち着きのなさで既に酷い。

砂漠の廃墟内に潜むレベッカ・ファーガソンの登場は、トム・クルーズ視点でのレンズの光の合図から繋ぐべきでは。室内会議での会話ではキトリッジ長官の顔を角度を変えて3カット連続で繋いだりもするが、話の混乱や対話の不信感を醸し出す演出意図だとしてもノレない。ただ無駄に見辛くなっているだけで、もっと洗練された演出(例えば会話中に室内の窓ガラスに長官の虚像を写し込むカットを一つ挿入して違和感を出すなど)を挟み込む余地はいくらでもあるはずだ。

この冒頭の3シーケンスを観ただけでも現場段階での統率力の欠如が伺えてしまい、途中退出しようか迷ったが、続き物なので仕方なく最後まで観る。

唯一笑えたのはローマでのフィアット横転で運転席のクルーズと助手席のヘイリー・アトウェルがいつの間にか入れ替わってるところ。ここだけはサイレント喜劇的な呼吸が一瞬だけ現出している。

ヴェニスの橋や最後の列車アクションは少し1作目のセルフオマージュも兼ねていそうだが、それにしても寂しい出来だ。一番最後の横から縦アクションへの変貌はそこまで悪くないが、21世紀の列車アクションに限定しても「ポーラー・エクスプレス」や「ローン・レンジャー」に余裕で負けている。

あと戸田奈津子の翻訳はほんとにどうにかしてくれ。頻出するentityを"それ"で押し通したのにはたまげたぜ。
とーるさんし

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