natsuo

ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONEのnatsuoのレビュー・感想・評価

4.8
「このとんでもない映画体験を、ぜひ劇場で!」

AC映画好き、スパイ映画好きと散々言っていながら微塵も観ていなかった本シリーズを、公開日が近づき始めてようやく追いかけ始めた。1〜6までを先月のうちに一気見し、ちゃんとハマったところでようやく本最新作に漕ぎ着けた。今までこんなにも面白いAC映画を観ていなかったのか...と後悔するくらいシリーズにどハマりしたし、この最新作が楽しみで仕方なかったので観れて、特に劇場で観れてよかった。シリーズでは本作が初の劇場鑑賞作。マーヴェリックで映画館、劇場の力をとんでもないほど見せてくれたトム・クルーズは、今年もとんでもないものを劇場で観せてくれる。コロナが落ち着いた(のかよくわからないが)今、僕らを再び映画館に連れ戻してくれる待望の最新作である(別に自分は映画館離れしていなかったがw)。
予告の段階でまず観たことのないAC。それはもちろん、モトクロスで崖を飛び降りるシーン。あんなの今まで誰が観たことあろうか。パラシュートは背負っていながら命綱もないし地面が超ふかふかマットでもない。トムが本気で命を賭けたマジもんの飛び降り。もうあの時点で映画界に衝撃は走ったろうし、いつもの如く名場面を一つ作り出してしまった。他にも、いつものカーチェイスやら砂漠の銃撃戦、特急列車でのACやら潜水艦、そしてこれもいつもの、トムダッシュ(勝手に命名)。とにかく盛りだくさんすぎて、いやぁこれは楽しみだなーと予告の段階で期待できる。(むしろこんなに見せてもらっていいんですか??)


サングラスをして、デン デン デン デン デンデン テルルー テルルー テレ と口ずさみ、周りの監視カメラなんか気にしちゃったりして劇場に行き、いよいよだー!とワクワクして着席した。さあ始まる!と思ったその時、ニッコニコのトムとクリストファー・マッカリー監督が映る。ん?と思ったら、劇場に来てくれてありがとう、楽しんでね!というメッセージだった。おおなんと素敵な。コンニチハジャパンこそ聞けなかったが、劇場に来てよかったなあと改めて思わせてくれ、ますます本編が楽しみになった(あのメッセージは5秒後に消滅したのだろうか)。

早速潜水艦のシーンに突入。氷海の底を進むロシアの潜水艦(セヴァストー?ポリ)だが、なんでも、敵戦艦に探知されない超高性能新型AIを開発しそれを搭載しているらしい。世界で最も高性能で世界で最も恐ろしいAI及び兵器だそう。またまたそんなの作ってー暴走したらどうすんねんと思ったが、ほら言わんこっちゃない。AIがちゃんと暴走し始め、その潜水艦を大破させたのだ。ただこのシーンが非常に面白く、このAIがシステムを巧みに使って人間を爆破に誘導するのである。まず自艦のソナーに、敵艦と思わしき潜水艦が表示される。本艦は高性能AIの力でバレない筈だと思っていたが、敵艦は自艦に向けて魚雷を発射してきた。たちまち艦内は大混乱。急いで迎撃の魚雷を発射するが、敵魚雷を撃ち落とすことは叶わない。残り数秒でその魚雷が自艦に直撃すると報告され、死を覚悟する隊員たち。しかし、カウントダウンが終わっても魚雷は直撃しなかった。どういうことだ?とまたまた混乱するが、今度は自艦の魚雷が敵艦を捉える。さあこれで撃墜できる、と再びカウントダウンがされるが、また0になっても爆発しない。それどころかずっとソナーに写っていたはずの敵艦が消えているのである。もうわけわかんない!(鑑賞時の自分もそう)ということですぐ帰投しようとなったのだが、先ほど放って敵艦を撃墜し損ねた自艦の魚雷が一周して自艦に進路を取り始めた。急いで緊急停止ボタンを押すも魚雷は止まらず、瞬く間に自艦に直撃。ロシアのセヴァストポリ潜水艦は撃沈し、乗組員は全員死亡した。自艦の魚雷で自爆するという非常に不可解(潜水艦ではまずあり得ないだろう)な事件だったが、そう、まさにAIによる暴走なのだ。本作はある国やテロリストなどが相手ではなく、AIが敵となる。現代、正しく映画業界でもAIの存在が危険視されている中でのこのテーマはおおなるほど、と。しかも、よくあるAIの暴走でしょ?で終わらず、この設定が、本作極めて良い。M:Iシリーズへのマッチ度、そしてAIの脅威の描き方がとても上手。

さあということで、本作のGood evening, Ethan Huntは、このAIに関わる"鍵(key(s))"を手に入れろとのこと(この鍵は2つに分かれており、その両方を手に入れなくてはいけない)。イーサンと親しい仲間であり友でもある、イルサ(レベッカ・ファーガソン)がその片方を持っており命が危ない。彼女を救い、鍵を手に入れることが今回のミッション。イーサンは、鍵とイルサのいる中東へ急ぐのであった。
イルサの元へ辿り着いたイーサンであったが、すでにイルサを殺し鍵を手に入れようとする集団に先を越されていた。トムはイルサと共にこの集団と銃撃戦を巻き起こすのである。もうこれがすごくいい。まずアイパッチスナイパーイルサのかっこよさよ。レベッカ・ファーガソン好きの自分にはもう刺さりまくり。そしてトムもその他敵たちも防砂塵マスクに身を包み、アサルトやハンドガンを携え銃撃を繰り広げる。砂嵐という視界の悪さの中、どこに敵がいるかわからない中でクリアリングしながら攻防する様がめちゃくちゃかっこいい。そしてこれは、毎作M:Iの本当に優れていると思う点なのだが、ACシーンでBGMを無くすこと。もちろん他のAC映画でもこれをするものは多いが、M:Iはこれに加えて効果音のクオリティの高さが尋常じゃない。ライフルの鈍い音、サイレンサースナイパーの音、ピストルの軽い音、足音、砂塵の音、全て没入感が半端ない。冗談抜きで手に汗握ったし、ハラハラドキドキが止まらなかった。

中東でのAC後、国防情報局(正式名称忘れた)にシーンは移る。世界最恐AIの暴走が確認され、大急ぎで全情報をアナログに移行する局内(なんとも滑稽である)。その上部ではAIや謎の鍵についての組織間の情報提供が行われる。CIA長官キットリッジ役ヘンリー・ツェーニーは1作目(27年前)ぶりに再登場した。そんな会議に遅れて入ってくるキットリッジの秘書?助手?的な男。一切喋ることはなくただただ部屋の様子を眺めているだけだが、カメラはやたらと彼を映す。いかにも怪しんでくださいねと言わんばかりに彼が何度も何度も映され、だんだんと恐怖を感じてくる。我々は明らかに彼を疑うが、部屋の中の人たちは一切怪しむことはなく話し合いを続ける。...とその時、その秘書的な人がキットリッジにガスマスクを手渡し、催眠ガス爆弾を室内にに放り投げた。彼とキットリッジ以外は眠らされ、戸惑うキットリッジ。すると謎の男は顔を剥き始め、中からイーサンが出てきたのだ。聞かされていない情報を、裏で聞くとか盗聴するとかではなく、もろに間近で収集するかっこよさ。さすがイーサン。そしてここでの会話劇の演出がとても秀逸。1へのリスペクトがこれでもかと感じられる、イーサンと長官の緊張感溢れる会話。敢えてあおりかつ斜めでの撮り方で、2人の信用しきれない不安定な関係性が暗に示されている。この歪さにはかなり心拍が上がる。これはこのシーンだけではなく、全ての会話劇で適応されるが、敢えて不安定で歪な撮り方でみせACシーンでもないのに尋常じゃない緊張感が終始漂う。2時間半ずーっとこんな感じ。まじでどきどきしてたが、この劇場体験はめちゃくちゃ楽しかった。

そして鍵の回収のため、空港へ向かうIMFチーム。そこではバイヤーへの鍵の受け渡しが行われるそう。その現場を先に越し、鍵を回収しようと試みる作戦。しかし、先の情報局での一件で、IMFはCIAに追われる身となってしまう。作中、今後も付き合い(歪み合い)が長くなるCIAだが、ブリッグズ(シェー・ウィガム)とドガ(グレッグ・ターザン・デイヴィス)が執拗にイーサンを追っかけまわし、これもこれでまた面白い。そんなCIAのエージェントたちが空港でイーサンを捕まえようと監視カメラを通じて連携し合い、遂に彼を追い詰める。しかし逮捕した人は全くの無実の一般人だった(もちろんフルフェイスマスクをしているか否かもチェック済み)。これは、なんとルーサー(ヴィング・レイムス)による監視カメラのハッキングが功を成したもの。さすが我らがルーサー。ラップトップで空港全体の監視カメラをハッキングし、イーサンの位置情報を撹乱する。めちゃかっこいい。CIAエージェントはまんまとこれに騙され続け、全然イーサンを捕らえられない。これでイーサンは快適に(?)ミッションをこなすことができる。まさに縁の下の力持ち、ルーサーさすが。
そしてイーサンはというと、順調に鍵を回収してる、、、と思いきや民間の盗人に盗られてしまう事態に。急いで回収に向かうが、この盗人はそう、ヘイリー・アトウェル演じるニューカマー、グレース。エージェント・カーター(キャプテン・アメリカなど)でお馴染みのあの人。出演決定の時点でどんなキャラになるのかみんな楽しみにしていたが、遂にお披露目。盗みや騙しの腕が非常によく、イーサンでさえまんまと騙されるレベル(いや、イーサンでさえって言ってもイーサンもすっとこだからなー)。このグレースも本編を通じて超重要キャラとなってくるが、今はイーサンと信じたり騙したりの繰り返しで楽しそうw イーサン(敢えてトム・クルーズと添えておこう)も美女に振り回されて満更でもないご様子。またまた女性と戯れて、もう...w これまた1へのリスペクト、鍵を出したり隠したりするトリックも魅せちゃったりして、なにかっこつけてんのさ。
しかしそんな楽しい時間は長くは続かず、結局CIAに見つかってしまうイーサン。よーし逃げろ!と逃げようとするが、突然目の前に男が現れたと思ったら消えていなくなった。また、少し前から空港の貨物に爆弾が仕込まれていることを発見したベンジー(サイモン・ペッグ)は死闘の末解除に成功したが、その爆弾は空だったことが発覚。このように不可解な事件が重なったことから、即座に例のAIが介入していることを見抜いたイーサン。IMFチームに解散を伝え、全員散り散りに逃げ出した。直接的ではなく間接的に、しかし確実に情報を介して迫ってきている例のAI(劇中ではThe Eternity 「それ(戸田奈津子先生訳)」と称される)。特にIMFチームは数多くのハイテクデジタルグッズを有しているため、「それ」に何をされるかわからない恐ろしさがある。改めて、このシリーズと得体の知れないAIとの相性は抜群と見えた。最初こそ、うーわベタなのやったなーと思ったが、スパイ×ガジェット×国家×組織×情報戦×...といった本シリーズにおいて、どこに属しているかも何が目的かも最終的に何をしでかすかも不透明なAIというのは非常に恐怖。イーサンもIMFも皆恐れをなしている(それが伝わる)。このマッチ度の高さはすごいし、脚本もよくできているし演出も上手。

チームは解散したが、イーサンは1人でグレースを追い、ローマへ飛んだ。鍵を回収しその鍵が何なのか、AIはどんなものなのかの情報も得ようと試みるが、そこでは過去の因縁が待っていた。AIの脅威に怯えながら世界の破滅を防ぎながら過去との因縁に立ち向かいながら愛する仲間を守る、というもうマルチタスクにも程がある今回のイーサンのミッション。既に還暦を迎えたというのにこんなにもかっこよくて頼もしい人はいないなぁと思う。そしてこの先我々を待っているのは予告での期待を遥かに超えてくるとんでもないACと劇場体験。全細胞が沸き立つ(とかダサいこと言うのは恥ずかしいが)、こんなの観たことないような映画を観ることができるのだ。ネタバレは避ける(既にまあまあ言ってしまったが、さらに面白いストーリーがこの先も広がるのでご安心を)が、これは絶対絶対映画館に観に行ってください。こんなこと言うのは個人的に好きではないが、配信でいいやとは思わない方がいい。絶対に映画館へ。


さあまあこの先広がっているのは、言った通りとんでもない劇場体験。予告でチラ見せだった、崖からのモトクロス飛び降りや、列車内のAC、ローマでのカーチェイスなど、、、。しかしこれら全て、ハードルをバカみたいに高く超えてきた。やはり本編、劇場でのあのACシーンは格が違いすぎる。予告は映画館のスクリーンで散々観たが、本編ではレベルが違いすぎた。特にやはり見せ場の崖をモトクロスで飛び降りるシーンは、まさに息を呑み体一つ動けなくなり完全に見入ってしまう。うわうわうわうわこれやばすぎる、、、(語彙力皆無)ともう本当に自分じゃ訳わかんない。とんでもないものを観させられ、劇場で座っている自分は何かが完璧に満たされた気分になった。マーヴェリックでも得たこの感覚。最近は他にも、アバター2やRRR、スパイダーバースなどでも得た、とんでもないこの劇場体験。まさに映画、劇場のパワーを感じた。しかもこれはトム生身の力。YouTubeでは既にメイキングが公開されていたが、CGでも合成でもない。本当に命を賭けてトムは崖を飛んだのだ。いやいやまじっすかトム。まじっすか。なんで今生きて楽しそうにワールドプレミアしてるんすか(ってか日本においでよ)。この凄まじい人が今ちゃんと生きていることに涙が出そうにもなる。ローグネイション,フォールアウト,マーヴェリックでも同じだが、Gがまじにかかり顔がまじに歪みながらも人類未到のACをやり遂げるトムは本当にカッコ良すぎる。もう本当あんたはすごいよ、トム。
しかし、これだけではないのがこの映画のとんでもないところ。予告ではちょい出しすぎて完全にノーマークだったが、電車のシーンがまじで凄まじい。いやいやいやいやもうやめてくれよ。これ以上とんでもないものを観せないでくれ。これは是非劇場で観て欲しいが、ずーーーーっと緊張感とワクワク感が頭の中で大渋滞で、スクリーンに映っている人間離れしたACに追いつけない。とにかく中盤以降のACとストーリー展開にはずっとテンション爆上げ状態。もうもはや怪作と言っても良いくらい、AC界、映画界を揺るがすとんでもない映画、劇場体験だった。もし自分がアメリカにいたら、映画館でフォォォォォォーー!!!と叫んでた(流石にやってないです)。本当に凄まじいものを観せてくれてありがとう。もう至福でしかない。


ストーリーもとても良かった。AIの設定、新キャラグレースの魅力、IMFチームの友情やイーサンの成長、2時間半の中であのとんでもないACシーンの数々でありながら、ここまで密度の濃いストーリーが観れたのも満足。1〜6までをリスペクトしつつ、また新しい切り口からイーサンを掘り下げている。また、特にクリストファー・マッカリー体制になってから非常に良くなったことだが、コメディとシリアスのバランスがお見事。今回は終始緊張感が走り落ち着くことのできない2時間半ではあったが、それでも時々出てくる笑えるポイントはしっかりツボをついてくる(特にシリーズファンの自分は嬉しい要素ばかり)。やはりキャストの魅力がデカい上、このスケール緊張感の中でのボケ要素はギャップがあって面白い。
先に言われていた通り、Part分けされた映画なので途中で終わるのは仕方ないが、スパイダーバースのように次が気になりすぎてあああああ!!!となる、とてもいい終わり方だった。まじで次いつ公開ですか???早く観せてくれませんか???でもいつまでも待ちます。その分超超いいもの観せてくださいよ!!冗談抜きで期待作を待つことは生き甲斐なので、ワクワクしながら心待ちにしようと思う。


ということで、新作公開となったのに観ていなかったM:Iシリーズを一気見し、全部ちゃんと頭に入った状態で観に行った最新作。とんでもないものを観せてもらえて大満足であった。M:Iシリーズは既にどハマりして大好きなのだが、劇場鑑賞は本作が初。そう考えるとやはり映画館で観てよかったなぁ、、、と思える。しかしM:Iに限らずやはり劇場で観るトムの映画はレベルが違う。自分でこれでもかとハードルを上げ続け、それに真っ向から挑んで超えていく姿はいつ見てもかっこいい。常に映画、劇場というエンタメの極限を突き詰め続け、いつになっても第一線で活躍し続けるトムをこれからも見守っていきたい。そして憧れの存在として追っかけていきたい。マーヴェリックで映画界を窮地から救ったトムは、またしても今年やり遂げてくれた。「不可能」だなんて言いたくないがまあでもそう言わざるを得ないような今日の映画界の危機の救出は、やはり彼が第一線で引っ張っていってくれることで成し遂げられることなのだろうと思う。本当にありがとう、トム・クルーズ。これからも「お怪我には気をつけて」頑張って欲しい。「お怪我には気をつけて」!!!

※レビューお待たせしました!(実は8/4に鑑賞済)ちょっと書き出したら長くなって途中めんどくさくなったりして、、、w 語り出すと熱が、、、ね?...とか言って全然まとめられてないんだけど、それだけとんでもなかったってことで締めとします。


P.S.)ちょうど1ヶ月後(9/4)、2回目をIMAXレーザーにて鑑賞。なぜ初めからIMAXで鑑賞しなかったんだと後悔するレベルで凄い。ど迫力の音と映像が完璧な臨場感を味わわせてくれ、もはや映像を観ている感覚ではない。その場にいる感覚。IMAXを利用されたことのある方はわかってくださるだろうが、本編開始前に"WATCH A MOVIE... OR BE PART OF ONE"って出る。まさにPART OF ONEになれる気分(本作がPART ONEというのもかけてたりして)。トムにWelcome to the IMFしてもらえた気分で嬉しい。
ストーリーも誰がどうなってしまうかも全て知っており2回目だが、それにも関わらずやはり緊張感はとんでもなくあった。終始ハラハラドキドキしていて落ち着けなかった。いやあやっぱ劇場体験って本当に楽しくて仕方ない。これだから映画はやめられん。
早くPART TWO観たいなー頑張れトム!頑張れM:I!

①[字幕]
②[字幕・IMAXレーザー]
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