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ストゥリー 女に呪われた町のいのレビュー・感想・評価

4.7
時間を忘れるほどの感動体験

インド映画を初めて見たのだが、めちゃくちゃ面白い。コメディとしても、ホラーとしても時間を忘れるほど楽しいものだった。今後はインド映画を積極的に見ていきたいと思う。

その上で“ストゥリーは戦争のメタファー”っていう説を推したい。ストゥリーとは、祭りの夜に若い男を誘拐するお化けで、本作では20人以上が連れ去られていた。街から男が消えた、街から子供が消えたという昔話は、古来より戦争の影を投影していることが多い。著名な失踪譚である「ハーメルンの笛吹き男」については、第4回十字軍の少年十字軍を寓話的に表したものであるという指摘がなされる。このように、戦争という高度に政治的な暴力を包み隠すために、多くは昔話という形でその悲惨さを伝えているものがある。今回、一度連れ去られたジャナーが帰ってきた夜に、20人の男が失踪する。ジャナーとは、人類学者ルネ・ジラール的にいう暴力の連鎖の鏑矢であり、20人の失踪は戦争による男性の喪失を象徴的に表したものだろう。そうして、女たちは男が帰らぬことを嘆くのである。
今回のストゥリーは女の悪霊であるが、アレクシエーヴィッチ「戦争は女の顔をしていない」を想起させる。彼女は戦争の間違いない被害者なのであり、それによってしかし自明に“戦争的”なのである。街の民族誌を書いた作家が、女は戦争じゃよ、と言っていたのも示唆的だ。
最終的にストゥリーは”ストゥリー街を守って”と、街を守る任務を与えられ、その霊力は謎の女に引き継がれる。平和な街においてはもはや霊力(戦力)は必要なく、戦争は街を守るための装置として置かれることになるのである。その後、戦争自体は戦場を求めて去っていく、これを最後の謎の女のシーンが象徴していたのだと思う。
だから、ボクはこの映画は戦争映画だと思うのです、、、

あと“謎の女”役シュラッダー・カプールマジで可愛い、インド行こ、
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