空中猫

コリーニ事件の空中猫のレビュー・感想・評価

コリーニ事件(2019年製作の映画)
4.0
新米弁護士が初めての国選弁護人として事件当たるが、被告人の公訴事実は自分の恩人の殺人。葛藤しながら弁護活動を続けていく中で、ドイツ司法の闇に直面することになる、という映画。

サスペンスの内容自体は他のレビューの通り。個人的に考えさせられたのは刑事弁護人の置かれた状況で、これは日本の刑事司法制度でも全く共通の問題だ。

殊に重大犯罪において刑事弁護人は世間から猛烈な批判に晒される。しかし真実発見の場である刑事裁判においては、被告人の弁護人がベストを尽くすからこそ、検察も隙のない立証を迫られ、充実した公判活動が達成されるものだ。
最初は私情盛り盛りだった主人公も、真実発見のため、被告人のため、弁護士としての信念に目覚めていく過程は感銘を受けた。日本社会も決して他人事と思ってはならない。

あと、日本の刑事司法の知識がある人は、ドイツ刑事司法と比較できてとても楽しいだろう。どこまでリアルに描いているかは知らないが。
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