ハリボ

失くした体のハリボのレビュー・感想・評価

失くした体(2019年製作の映画)
3.2
【2020年22本目】

失ったものは夢、
掴んだのは明日。

冷蔵庫から切断された手が産声をあげる。
五本の指を器用に使って歩く歩く。
なんじゃこりゃという斬新さと、えぐみを序盤は感じるのに、途中からかわいらしさと親近感を覚える話運びはうまいなあ。

ラフな絵はフランスの独特なパリッとして(ダジャレじゃないよ!)クールな感じが素敵。
普段人間が進入できないような場所を生活感溢れる構図から覗き見している感じが凝ってて興味深かったです。

ただ、回想が多く、
そっちのがメインになってしまっていたので
手がひとりでに動くという面白い設定が付属品になってて活かしきれてないようにも感じました。
回想はそこまで丁寧にしないで、もっと抽象的に見たかった。

手というものは、動物の中で唯一思考し、創造することのできる人間の象徴だと思います。
そう思うからこそ、ラストシーンは個人的には残酷すぎてハッピーエンドには感じれなかった。

尊厳のない閉塞的な身分は
現代社会の風刺でしかなくて苦しい。
ハリボ

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