TheyMadeMe

サクリファイスのTheyMadeMeのレビュー・感想・評価

サクリファイス(2019年製作の映画)
4.5
3.11以降のセカイ系。

君の名は。村上春樹の1984、エヴァンゲリオン、シン・ゴジラなどを連想させられました。

すべての芸術作品は深度と強度によってその価値が決まります。この映画の深度はこれらの作品と同じレベルに達していると感じました。

311匹の猫殺し。地震を予知した元宗教団体の女の子。ありそうでなかった斬新な発想です。

日本人の精神性の中心にあるもの。それは核への畏怖ほかなりません。そして敗戦、関東大震災、バブル崩壊、阪神大震災、リーマンショックと何度となく生きづらさに晒されてきた過去があります。

生きづらさの受け皿として、かつては例えば、信仰宗教があった。しかしオウムによってタブー化されてしまった現在、代用品を求め続けている人もいるかもしれません。もしかしたらそれはSNSの「いいね」といった自己承認の回復、私刑といった他人への攻撃によって得ているのかもしれません。

けれどそれさえも叶わない人たちがいることも事実です。無差別殺人がまたワイドショーを賑わせる。絶望の中をあがこうとする犯人の姿。猫殺しの男の姿が重なります。

時代を捉えた映画です。
カルト的に火がつく可能性を秘めています。
TheyMadeMe

TheyMadeMe