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羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来のtomharakのレビュー・感想・評価

4.3
原語版公開時気になってはいたがタイミング合わずだったところ日本語版公開のタイミングでようやく。

ビジュアルや各種演出をみていきますと、日本のアニメでも特に『もののけ姫』『千と千尋』あたりのジブリ作品に加え『ドラゴンボール』『AKIRA』といった歴史的作品からの影響をとても濃厚に感じますが、それらを完全に咀嚼しつつ中国発らしく陰陽五行思想の世界観でファンタジックにまとめあげてる、といった印象。
しかし先ず全体のテンポ感というか、緩急のバランスが日本のアニメを観慣れている向きには独特、と感じるところかも。
あとは戦いが単純な善悪の対立でないのも特徴的ですね。

劇中後半で炸裂しまくるアクションシーンが最大の売りかとは思います。フレッシュな物理表現も混じえてのスピード感が本当に心地良い。

個人的には前半、術の修行と、何度も繰り返される食事、を通して少しづつ心を通わせていくシャオヘイとムゲンの道行き、非常にゆったりと描かれるロードムービー感が印象的でした。
やはり特に食事シーンですね、冒頭シャオヘイがフーシーの仲間たちと出会ったあとも先ず食事。ムゲンに執行人の妖精たちが合流したシーンでもまず食事。円卓を囲んで。すごく中国的。

前半はまあ、観てて微笑ましいとはいえいろいろ世界観全体像やキャラの関係性がわからんまま結構長い時間進むので退屈と思われる向きもあるかと思いますが、観終わるとずっとこの世界に浸っていたい、と思うようになってる引力が凄い映画かと思いました。

※なので劇場版だけ観ると描かれきれてない、掘り下げてほしいサブキャラ多すぎが気になってしょうがないのでアニメシリーズ観たくなりますわね…

※あと、これを生み出したのってこれまで日本の下請けでやってたであろう中国アニメーターたちでしょうし、彼らにこれまでの仕事を通して染み付いてる作画レベルの高さを思い空恐ろしくなりました
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