いきる

羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来のいきるのネタバレレビュー・内容・結末

4.0

このレビューはネタバレを含みます

途中で君が悪役なのね〜と気づいてもそれでも私フーシーが大好きよ

【※以下风息贔屓目レビュー】
ジブリぽいモチーフの点置きとか他にもちょいちょい気になるところはあったけど、もう絵が可愛すぎて最近のリアルを追い求めたちょっとシャープでいけてるでしょみたいな映像が溢れたこの時代に生まれた私は可愛いの気持ちで心がいっぱいに満たされました。
アニメのわくわくってこれだよね!

シャオヘイがフーシーに「だから僕に親切にしてくれたの…?」と問いかけるシーン、ずっと前髪で見えなかったフーシーの左目が一瞬風で靡いて見えるカットから彼の本心とか迷いが見えた気がして…一番心に残った場面です。

それだけにラストが悲しかった。自然と人との共存って使い古された永遠のテーマだけどもう少し優しい解を提示して欲しいと思ってしまった。いやそれは理想主義なのかな。どうだろう。
搾取された弱者が今度は力を奪う側になって奪われたものを取り返そうともがいても、結局生まれつき力を持った強者によって押さえつけられ、また奪われる。その繰り返しは人間が力のままに自然を蹂躙する様をまざまざと見せられているようで、この結末にはフーシーに感情移入しすぎるあまり疑問と怒りが湧いてきた。
しかしこの物語のタイトルは『羅小黒戦記』。読んで字の如く戦いの記録なのだと思い直しなんとか落ち着きを取り戻すなどした。

フーシーの最期はせめてもの抵抗。「この木が木材になるのか公園になるのか」という台詞がこの物語の核なのだろう。
だからこそ『ぼくが選ぶ未来』はこの映画の副題として非常に秀逸であると感じた。主人公であるシャオヘイ、そして観客のわたしたちがあの大木を木材にするのか公園にするのか、そんな選択を投げかけられている。

ラストシーン、湯屋みたいな館に着いて結局ムザンについてゆくことを決めたシャオヘイ。ここでもまた圧倒的フーシー大好きが発動しお前は飯を食わせてもらえりゃ誰でもええんか!?とキレそうになってしまった。大丈夫かな。彼のこと忘れないでね。の気持ちが強すぎる。もしもシャオヘイがムゲンに出会わなかったら、人間を憎んだままフーシーと共にいたんだろうな。力のままに人を排除し傷つけていたかも。ほんの少しの差でどちら側にもなりうる。そんな子供の危うさをはらませつつもそれでも妖精のシャオヘイが人間のムゲンと一緒に歩む姿はうまくいくんじゃないかなんて共存への希望を私たちに与えてくれる明るいエンドでよいな〜と思った。
いきる

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