かずシネマ

羅小黒戦記 ぼくが選ぶ未来のかずシネマのレビュー・感想・評価

3.6
観て良かった!

とりあえず、シャオヘイがとっても可愛い。
猫の姿の時も人型の姿の時も。
あの分身?みたいな、まっくろくろすけみたいなコもかわええ。
狐の子や地下鉄の女の子もそうだったので子供キャラ全般のデザインに言えるけど、シャオヘイが人型の時は子供らしく、もちっとしていて可愛い。
DB初期の悟空とかアラレちゃんみたいな身体つき。
そして声を担当されていた山新さんが、猫の感じを出すのがとてもお上手だった。声自体も可愛かった。
タイトルが表示されるまでの一連のシーンのシャオヘイ、フーシー達に歓迎された後に嬉しそうに寝床につくシャオヘイが特に好きだったなぁ。
欲を言うなら猫の姿ももっと観ていたかった。

ジブリ作品や大長編ドラえもんにある様な、「自然と人間の共存」みたいな事がテーマなので、日本人にとっては昔から馴染みのある内容と思う。
この作品の落とし所はそれぞれ好みがあるだろうから一概に言えないが「自分の敵側に回る人物だからと言って、それが必ずしも悪人ではない」という事を描けている点が、この作品の良いところと思う。
そしてテーマの割に説教臭くはない。
なので、とても見やすい作品と思う。

妖精のいる自然や田舎町の描写の仕方は、ジブリ作品や「蟲師」「夏目友人帳」辺りを思い浮かべて貰えればイメージを掴みやすいと思う。
そこに中国独特の描写と、洗練された現代の都会の描写や郊外型のSCみたいな建物も出て来て、先に挙げた作品たちには無いような世界観になっている。
なので、主要キャラ達の衣装が都会にいる時はちと浮いていた。
人物の作画や着色はシンプルで、主線はくっきりとしていてデザインもあまり人を選ばない様なもの。
大人キャラはそうでもないが他のキャラ(小さな妖精とか)を見ていて、なんとなく、湯浅監督の「カイバ」を思い出す。

戦闘シーンはよく動くし、スピーディな部分とスローの演出や静かになる音が効いていて、とても見応えがあった。
肉弾戦じゃなく特殊能力系だが、やり過ぎてない感じが良い。
(特殊能力で戦うのってやり過ぎると一気にオタク向けになると思う。)
バトルシーン、なんか懐かしいんだよな〜…と思っていて、なんとなく「忍空」が頭によぎった。
…NARUTOじゃない辺りに歳が出ているw
近からず遠からずなイメージかも?とも思ったが、「金色のガッシュ(子供キャラ能力系)」「うしおととら(人+妖怪系)」辺りとは受ける印象が少し違う。
また、都会での能力系のバトルシーンというとレールガンとかボンズの作品とか、思い浮かぶ作品は色々あるけれど、それらとも少し違う印象を受ける。
街から人を逃す描写も好きだった。

書かれてる方もいるけれど、やはり字幕が字数の割に消えるのが早めだった。
アニメなので、例え字幕を見逃したとしてもなんとなく分かるんだが、キャラクター達の特殊能力については(字幕無しの状態で観たとしても)もうちょっと分かりやすさが欲しかった。
金属を操るとか木を操るとか、それは説明がなくとも見たら分かるのだけど、あの「空間について」よく理解する為には台詞(字幕)とアニメ描写の両方が十分に必要だと感じる。
よくよく理解する前に字幕が消えてしまい、でも当たり前にそのまま進行するので、「あぁ、これがそうなったら、何かとにかくヤバイんだな」という風な、残念でなんとなくな事しか分からなかった。。
中国の言葉が分かったら良かったのにな…。

シャオヘイとフーシー達の交流がもう少しだけ長い期間であれば、シャオヘイが意固地になる事や反発する事に、より説得力が増したと思う。
途中のムゲンの台詞でもあったけど、半日しか一緒に過ごしていないのにあまりにも信頼し過ぎじゃないか?
人に住んでいた所を奪われ、それまで独りだった事、ようやく出来た仲間だった事、そしてまっ更な子供なので、最初に打ち解けた人達に懐くというのはよく分かるけど。
フーシーがシャオヘイの能力について、いつ何処で知ったのかも気になった。

途中、シャオヘイとムゲンのロードムービーみたいな事になっていたのも好み。
少々中だるみは感じたけどね。
荒れた海のシーンはゾクッとしたし、サトウキビをかじっていたシーンや2人が何かを食べていたシーンはとても可愛らしかった。
ムゲンは、うたわれるもののハクオロとNARUTOの(大人になってからの)サスケを足した様なイメージのキャラだなぁと思って観ていたが、どちらかと言うとフーシーの方が(大人になる前の)サスケだった。

あと序盤の、シャオヘイに喧嘩を売ってた人達…大の大人が何人もで猫を取り囲んでいて草生えた。お前ら猫相手になんでやねん、とw
(意味があったシーンだと後で分かるんだけど。)
それと、地下鉄のシーンの名も無き人の台詞で「人身売買じゃないのか?」というものがあり、中国の社会問題的な事も感じてしまった。。
地下鉄に手荷物検査があったのも「へぇ!」となった。

「館」の中もどんな様子なのか見てみたかったな。
外観がとても素敵だったから。

音楽もまずまず良かった。
ムゲンが吹いていた尺八?の音色が渋くて好き。
ED曲も可愛くて好きだった。


※他作品の名前をいくつも挙げていますが、想像しやすいかな〜と思って挙げただけで他意はありません。念の為。

加えて、あえて比較対象等として今の日本のアニメーション作品の監督を挙げるならば、作風が全く異なる新海監督や他の監督ではなく(特に、いつも作品が賛否分かれる某監督ではなく)、「ペンギン・ハイウェイ」や「ポレットのイス」等の石田監督だと個人的には思う。


中国の長編アニメは面白そうな物や作画が素晴らしい物があって気になっていた。
でも観るチャンスが無くて、YouTubeで予告編等を観るだけに留まっていた。
今回はチャンスがあり、滑り込みだったが劇場へ行った。
最初に行こうと思っていた日に体調がいまいちになり延期せざるを得なく、もうそのまま行けないかと思った…。
行けて良かった。満足。
上映館、もっと増えるといいね。
公式チャンネルはYouTubeにもあるが、この劇場版は日本語字幕付きの円盤か配信を希望。
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