ツクヨミ

悪なき殺人のツクヨミのレビュー・感想・評価

悪なき殺人(2019年製作の映画)
3.4
人間は偶然には勝てない。
コートジボワールに住む黒人青年、フランス北部に住む夫婦と辺鄙な青年、パリに住む若い女性、彼らの物語は偶然で交錯していく…
フランス発サスペンス群像劇。今作はいろんなところでじわりと交錯していく人々の群像劇が楽しい作品だった。説明もなく幾人かの登場人物の主観を順を追って見ていく見せ方は黒澤明監督"羅生門"的な面白さを内包しており、徐々に明らかになっていく真実が奇妙で面白い。まさに群像劇のお手本のような巧妙な脚本力に飲み込まれる映画体験。
映画としては編集もそうだがやはり脚本の上手さがクオリティの底上げに貢献している。前半は謎ばかり残る北フランスでの失踪事件から後半はいろんな土地が入ってきて偶然と交錯により真実が明らかになる仕様は伏線回収がしっかりしていて、ちょっとしたカタルシスが付いていて楽しい。
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